3時間前。
私は由里子にパーティーに誘われ、六本木にあるホテルのレストランにいた。
ドレスコードはオールホワイト。
パンツスタイルの由里子と、六本木ヒルズのZARAで急遽ワンピースを買ったというまりか。私は着る機会のなかったLOUIS VUITTONのミニドレスを選んだ。
気合を入れすぎたかと心配だったのだが、ふたりから「さすが愛梨ちゃん」「可愛い!」と褒めてもらえて安心する。
参加者の年齢層が高いことにも安心感を覚えながら、私たちは3人揃って受付を済ませた。
テラス席でペリエ ジュエのグラスを受け取ると、スタッフがフォトスペースでの撮影を促してくれた。
「どう?ノマカメだと微妙?」と由里子が言い、「大丈夫じゃない?あとで美肌加工でもして。グループLINEに送るね〜」とまりかが返す。
送られてきた画像を見ながら、思わず微笑む。
圭太が生まれて4年。スマホのアルバムは圭太の画像で埋め尽くされ、夫の将生もカメラを向けてくれなくなった。だから、友達と自分だけのショットが、昔の私を思い出させてくれた。
「こういう非日常感も、たまには必要だよね。愛梨ちゃんは普段からシャンパンとか飲んでそうだけどさ」
由里子の言葉に、私は「ないない」と笑って否定し、みんなでシャンパングラスを小さく掲げ乾杯をした。
「あ〜おいしぃ。フリーフローなの最高…ていうか、由里子も愛梨ちゃんも旦那さんが子ども見ててくれてるんだよね?イイ男じゃん」
テーブル席に案内された後、まりかがフライドポテトをつまみながら言った。
「実は、こないだ由里子ちゃんに誘ってもらうまで、子どもができてから夜に飲み行くことって、ほぼなかったんだよね。なんていうか、夫の稼ぎで生活してるから、遊びに行くのが後ろめたいっていうか…」
そう言いながら私が目を伏せると、
「そっか。でも、家事育児だって大事な仕事だし、愛梨ちゃんが家を守ってるから、将生さんも安心して働けるんだよ。それをわかってくれてるから、今日もこうやって送り出してくれたんじゃない?」
由里子が、肩をポンポンと優しく叩いてくれる。
「あ。でも今日は、自由が丘の実家に圭太を預けてるの。だからたくさん飲んじゃう」
「いいねいいね!じゃあ、もう一回乾杯しますか」
まりかが言い、私たちはグラスを持ち上げた。
“東さん”でもなく、“圭太くんのママ”でもなく、“愛梨ちゃん”と呼ばれるこの時間が、ただただ楽しくて、嬉しかった。
この記事へのコメント
アプリで知り合った女と不倫?そして将生との修羅場?と思って読み進めたけれどLINE送っただけで終わってしまった。めちゃくちゃつまらない。これなら冒頭ではなく最後に将生を見かけて終わる方がいい気がした。しかも来週は由里子で再来週はまりかでしょう。
何だろう? やっぱり年収4,000万男の恋愛話並にオモシロクナイナ