Q1:男が交際当初から少し気になっていたことは?
風磨とは、友人の紹介で出会った。20代の頃、5年も交際していた彼氏と別れて以降、誰もいなかった私。
そんな私を心配した友人の美希が、「すごく良い独身がいる」と風磨と三人の食事会をセッティングしてくれた。
妹二人がいるという風磨は、私より3歳年下だけどとてもしっかりしており、年の差を感じなかった。
「葵ちゃんは、何のお仕事をされているんですか?」
初対面から“葵ちゃん”と呼んでくる親しみやすいところもよく、私は初対面の時から彼に惹かれていたのかもしれない。
「今は知り合いの会計事務所のお手伝いをしています。風磨くんは?」
「僕は弁護士です」
「弁護士さんなんだ!すごいですね」
「すごくないですよ。普通です」
お堅い感じかと思ったけれど、意外に優しい風磨。「いいな、この人…」そんなふうに思っていると、美希が動いてくれた。
「風磨、葵は箱入り娘だからよろしくね。そして葵、風磨はいい男だから。とりあえず、二人で食事にでも行ってきたら?連絡先、繋げておくから!」
「あ、ありがとう」
こうして美希に促され連絡先を交換し、私たちは二人で食事へ行くことになった。
◆
風磨が予約してくれていたのは、『月居 赤坂』だった。赤坂という風情ある街に溶け込む外観に、暖簾をくぐった先に広がるまた別世界。店内に入った瞬間から、心がふわっとなる。
「葵ちゃん、苦手な物とかありました?」
「ないです。何でも食べられます」
「そうなんだ!好き嫌いがないって、いいですね。先に聞くのを忘れていたなと思って」
「いえいえ、大丈夫です」
カウンター席で隣同士に座っていたのだけれど、この日の風磨はスーツ姿のせいか、どこか色気が漂っている。そんなことを考えていると、風磨が私の顔を覗き込んできた。
「敬語、やめません?」
「ですね」
こうして少し距離が縮まった私たち。初対面はほんの1時間くらいだったため、この日はたくさんお互いの話をすることができた。
「葵さん、ご実家は学大なの?」
「そうなの。だから今も、実家から5分くらいの所に住んでいて。でもほぼ実家にいるし、ひとり暮らしする意味もない気がしているけど…」
「でも、ご実家が近いのは羨ましいな」
「風磨くんは?ご実家はどちら?」
「僕は調布のほうだよ。帰ろうと思ったら帰れるけど、そんな頻繁には帰らないかな…」
「そうなんだ。私だったら、毎週末でも帰っちゃいそうだけど」
「家族、仲良いんだね」
豪華な素材がふんだんに使用されたお料理を堪能しながら、私たちはとても楽しく話し続ける。
「あぁ、美味しい…」
「葵ちゃん、普段ご飯は?」
「私は家で作ることもあるけど、それこそ実家でご飯食べることも多いかな。一人でご飯食べることが苦手で」
「本当に、実家が近いって最高だね」
「風磨くんは?」
「僕はほぼ外食かデリバリーかな。仕事の合間にパパッと食べちゃうことも多いし」
弁護士さんがどれほど多忙かはあまりわからないけれど、きっと忙しいのだろう。それに風磨はとても仕事ができそうだ。
「そっか、忙しいんだね」
「時期とか案件次第かな。それより、葵ちゃんこの後のご予定は?」
「まだ大丈夫だけど…」
「じゃあもう1軒行きません?」
「うん、行きたい」
この後も風磨が行きつけだというとても素敵なバーへ連れていってもらい、この日の私たちは解散した。
そしてここから何度か食事へ行き、三度目のデートで風磨はちゃんと告白をしてきてくれて、私たちは交際することになった。
この記事へのコメント
映画行こう買い物行こうって疲れさせる事だと思うよ。葵は無理のない範囲と思っても多忙で疲れ切ってる風磨にとって葵の子守りしながら外出って地獄だと思うけど。葵は思いやりとか気遣いが全く出来ないタイプの典型例。重いし、いちいち小言言うし、彼の忙しさも理解してないし。こんな子供と一緒にいても癒されない。