Q2:女が二度目のデートで失望した言動は?
熱い思いを抱えながら迎えた二度目のデートは、気合十分だった。
念のため、家の掃除もしたし2軒目までのルートもしっかり考えている。しかも2軒目も、2パターンほど用意していた。
なぜなら、前回のデートの終わり方はだいぶ含みを持っていたからだ。
― 今日でもしかして、決まるかな?
そう思うくらい、前回のデートで香澄は乗り気だった。
今回は家に近い、恵比寿の隠れ家居酒屋を予約した。照明が暗くて良い雰囲気で、デートの鉄板として使える店だ。
少し遅れて香澄はやってきたけれど、もちろん遅刻を怒ったりしない。僕はにこやかな笑顔で香澄を迎え入れる。
「ごめんなさい、遅くなっちゃって…」
「いいよいいよ、大丈夫。何飲む?」
「1杯目はビールにしようかな」
「ビールいくんだ!いいね。僕さ、ビールを美味しそうに飲む子が好きで」
「そうなんですか?じゃあ、私のオーダー正解でしたね」
こうして乾杯を済まし、食事が始まる。でも今日は二度目だし、諸々取っ払って先に進みたい気持ちもあった。
「拓実さん、お家恵比寿でしたよね?」
「そうそう。ここのすぐ近くだよ。この店、使い勝手が良くて。香澄ちゃんは芝浦だっけ?」
「そうです。ちょっと遠くて」
「普段、家では何をしているの?」
「掃除したり、ひたすらSNS見たり…拓実さんは?」
「僕はネット配信のドラマとか映画を見てのんびりするかな。家で好きな子と、美味しいワインを飲みながらまったりそれを一緒に見るのが好きで」
このタイミングで料理が運ばれてきたので、会話を一旦中断する。でも、少し食べた後、また話を戻す。
「香澄ちゃんは、そういうの嫌い?家でまったり…みたいな」
「好きですよ。お休みの日とか、一度も家に出ないで引きこもることもありますし」
「そうなんだ。食事もデリバリー?」
「そうです!もう、ひたすらダラダラして過ごすのが好きで」
「最高だね」
こんなふうに、休日の過ごし方の話から始まり会話は盛り上がった。別に変な会話もしていないし、微妙な空気にもなっていない。
相変わらず可愛くて盛り上げ上手な香澄と過ごす時間は楽しかったし、はたから見ても僕たちは良い雰囲気だったはず。
だから店を出て、僕は香澄に尋ねた。
「この後どうする?近くに行きつけの良い感じのバーがあって。もしくは僕の家でワイン飲みながら何か一緒に観るとかでもありだけど…」
前回、香澄は「もう少し一緒にいたい」と言っていた。だから、この後も一緒に過ごせると僕は期待していた。
しかし、彼女はしばらく考えたあと、爽やかな笑顔を向けてきた。
「ごめんなさい、やっぱり今日は帰ります」
― え、なんで??
想定外の返事に戸惑う僕。
「本当に、今日はもう帰る?」
「うん…」
こうして、本当に帰ってしまった香澄。前回はあんなにも前のめりだったのに、どうして二度目のデートで急に態度が変わってしまったのかわからずにいる。
▶前回:彼の大阪転勤2ヶ月後に「別れたい」と言われた26歳の女。29歳男の本音は…?
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:6月15日 日曜更新予定
女が態度を急に変えた本当の理由は?
この記事へのコメント
それと、こんなあざとい女を香澄という名前にしたライターさんの悪意に笑った。庶民的アピールと小走りで登場とか、絶対腹黒い。