A1:本気だったからこそ、手を出さなかった。
菜々と出会ったのは、友人の慶太の紹介だった。モテる慶太は昔から可愛い女友達が多かったのだけれど、たぶん最初、菜々も慶太狙いだったに違いない。
でも慶太があまりにも「絶対に、義樹のタイプだと思うから!」と言って紹介してくれたため、僕と菜々もお互いを意識せざるを得なくなった。
もちろん、僕としては嬉しかった。
菜々は小柄で可愛くて、とにかく笑顔がいい。いつも明るいし、一緒にいると楽しくなれる。
そして慶太の前では頑張ってお酒を飲もうとする菜々の姿がいじらしくて、僕は何度も止めに入った。
「菜々ちゃん、お酒弱いの?無理して飲まなくていいよ」
そんな僕の言動が良かったのか、いつの間にか僕たちは二人で飲みに行くようになる。そして三度目のデートくらいで、痺れを切らした菜々に家に誘われた。
「義樹くん、この後どうする?」
「明日早いし、帰ろうかな。送っていくよ」
「……家に寄って行かないの?」
もちろん、この時の僕が完全に無の心だったかと言われれば嘘になる。いや、むしろ煩悩しかない。
でも菜々のことが大事だったからこそ。僕はグッと我慢して菜々を紳士的に送ると決めた。
「女の子が、そんなこと軽はずみに言っちゃダメだよ」
そしてこの思惑が功を奏したのか、この後菜々のほうからハッキリと告白してきてくれた。
「義樹くん、私たち付き合わない?」
もちろん、驚いた。「多少の好意は持ってもらえているかな?」と思っていたものの、まさかの告白を向こうからしてきてくれるとは思っていなかったから。
「うん。それはいつか、僕のほうから言おうと思っていたけど…ごめんね、先に言わせちゃって。ありがとう」
「じゃあ、そういうことで」
「これから宜しくお願いします」
こうしてめでたく始まった僕たちの交際。ただ交際してすぐに、僕は菜々のある部分が気になるようになってしまった。
普段は別に良いのだけれど、菜々は酒が入るとなぜか態度が大きくなる。
あまり酒が強くない僕はそもそも飲まないのだが、菜々はどんどん酔っ払っていく。
「菜々ちゃん、飲みすぎないで」
「そんな飲んでないよ。義樹は?」
「僕は今日、一滴も飲んでいないからシラフです」
しかしこう答えても、菜々の態度は大体の予測ができた。
「え〜飲もうよ。つまんないじゃん」
そう、菜々は絡み酒タイプだった。
「いいの、僕は。2人で酔っ払ったら、収拾つかないじゃん」
「つまんないの」
そして最も厄介なのが、口が悪くなることだった。
他は良いけれど、酒が入ると面倒な菜々。
交際して1年も経つ頃には結婚も考え始めていたけれど、この酒癖がある以上、僕の友人に会わせるにはリスクが高すぎる。
そう思っていた矢先、事件は起きた。
この記事へのコメント
え、優しいと言ってたけどそれじゃ不満だったの?足りないの? 最高の彼氏だねの対してもそうなんですよと同意してる。たまには男らしさもみせて欲しいな的な所がお気に召さなかった? よく分からん。 酔うと口が悪くなる具体例も無いし、すごいモヤっとするアンサー記事。
でもその後も頻繁に皆で飲んだりしてたような事を菜々は言ってたっけ?忘れたけど。