E0027a8b56f26a02fd61b6448f74e6
30歳になりまして Vol.5

残業中、5つ下の後輩にコーヒーを奢られた30歳女。彼に心惹かれ始めて…

◆これまでのあらすじ

大手IT企業のマーケティング部課長・桜庭菜穂。30歳になった途端に、結婚どころか交際相手もいない自分の現状に、焦りが芽生える。ある日、会社の新人研修に登壇。時短勤務しながら子育てをしている同期と比較され、心がボロボロになり――。

▶前回:「バリキャリ」って言われると、嫌味に聞こえる…。大手IT企業30歳独身女性の本音


Vol.5 会社の先輩を「サシ飲み」に誘う心理って?


「あの、桜庭さん」

「…は、はい?」

社員食堂で一人食事を終えたタイミングで、若い男性社員が突然目の前の席に座ってきた。

― あ。この人…。どこかで見た覚えが。

私は、そうだ、昨日の新人研修にいた人事部の人だと思い出す。

「突然ごめんなさい。人事部の澤石蒼人(あおと)です。あの、昨日はありがとうございました。そしてすみませんでした」

「えっと…なんだっけ?謝っていただくようなこと、ありましたっけ?」

わけがわからずにいると、澤石さんは席に座り直し、少し身をかがめて私に目線をあわせる。

「少しお時間いいですか?…差し出がましいようなのですが、僕、率直に話すと、昨日の新人研修の企画はナシだと思ってたんです」

「え?」

澤石さんは、今どきの俳優にいそうな整った顔をゆがめる。

「2人の人生を比較するような企画ってどうなんだろうって。2人とも頑張って働いたり育児をしたりしているのに、お互いにモヤモヤするんじゃないかなって思ったんです」

菜穂は、どんな表情をしたらいいか迷ってしまう。まさに昨日からずっと「モヤモヤ」しているから。

この記事へのコメント

Pencil solidコメントする
No Name
どうにも菜穂を好きになれません。読めば読むほど嫌いになる.....どうしてでしょう? ちょっと変?不思議ちゃんと言うかとにかく応援したいとも思えないキャラ。 せっかく仕事出来る設定なのだから、もっとステキな女性に描けなかったんでしょうかね?!
2025/06/04 05:3714Comment Icon1
No Name
社食で、牛丼をかき込んで食った後泣いちゃうの? 読者目線ではドン引きだけど人事の澤石は気にしてなかったみたいだねw この単長な感じでダラダラ最終回まで続くのかなぁ....🤪
2025/06/04 05:2013Comment Icon3
No Name
本を読まないひとなら2時間もコーヒーショップで待てないです。
本を読む人でも残業してるのを2時間も待てるのはすごいこと。
もう謝ったし、人事部全体で決まったことだからこれい事の謝罪のためではないし、女として興味がなかったら絶対にできないことだと思います。良かったね。
2025/06/04 05:4211
もっと見る ( 22 件 )

30歳になりまして

「30歳」

その数字は、女性の心に妙に重くのしかかる。

「年齢なんてただの数字」と本人は思っていても、世間がそれを許してくれない。

職場では、つい最近まで若手だったはずなのに、いつのまにか中堅どころになっている。

マッチングアプリだって自動的に30歳になった途端に「いいね」が減った気がする。

気持ちは追いついていないのに、30歳という年齢の重みがが急にのしかかる。

大手IT企業のマーケティング部で、課長職を担う桜庭菜穂は、30歳になって迷いが生じ始めた…。

この連載の記事一覧