男という生き物は、一体いつから大人になるのだろうか?
32歳、45歳、52歳──。
いくつになっても少年のように人生を楽しみ尽くせるようになったときこそ、男は本当の意味で“大人”になるのかもしれない。
これは、人生の悲しみや喜び、様々な気づきを得るターニングポイントになる年齢…
32歳、45歳、52歳の男たちを主人公にした、人生を味わうための物語。
▶前回:7歳上の職場にいる女性が気になる32歳男。ダメ元で誘ってみたら意外にも…
Vol.5 表参道で買うサマーニット
大手通信企業勤務の45歳、洞沢洋司の場合
暖かな5月の日差しの下。
コムデギャルソンやISSEY MIYAKE、プラダといったブランドが立ち並ぶ表参道で、僕はじっと自分のファッションを確認していた。
― 勢いで来ちゃったけど、この服で追い出されないかな…。
僕が今身につけているのは、去年買ったユニクロのTシャツに、量販店で買ったジャージー素材のジャケット。
どちらも世間的には人気の品だし、着心地も抜群だ。お世辞抜きに気に入っている。
だけど、そんなファストオフィスカジュアルをまとった僕の前に今そびえたっているのは、高級紳士服ブランドの旗艦店なのだ。
ブルネロ クチネリ。
学生時代からの友人・大野木がいつも来ているというアパレルブランドを前に、僕は思わず息をのむ。
― やっぱり、場違いだったかな?いや、でも…。
ちょうど青山にある取引先にやってきたついでとはいえ、普段は縁のない表参道まで、会社の昼休みにわざわざ足を延ばしてきたのだ。
どうしたわけか見渡す限りシュッとした人々しかいない表参道で、僕は勇気を振り絞る。
そして、「よし」と小さく気合を入れると、場違いなところに来てしまったという居心地の悪さに蓋をして、店内へと足を踏み入れたのだった。
この記事へのコメント
だらしないメタボ体型を改善してから色気だの何だの言ってくれる? 😂
ニットは息子ちゃんのものになったけど目の前の幸せに気付けたなら21万はそんなに高い勉強代でもなかったかw
それにしてもお値段からして緊張感のあるニットだこと