766aeb66c046db8961bb15034d87c9
表紙カレンダー Vol.134

「物心がついた時からずっとネガティブでした」白石麻衣が、 少しずつ自信をつけることができたワケ

好奇心に突き動かされてさまざまなことに挑戦した20代を経て社会人10年目の節目を迎えた32歳にしっくりくるのは、気取らず楽しめて、カップルにもグループにも、使い勝手の良い店だ。

そんな一軒に、まさにいま白石麻衣さんをご案内。女優として躍進を続ける彼女の価値観にも迫った。



東京カレンダーアプリなら、白石さんのインタビュー全文が掲載されている雑誌の最新号をどこよりもお得に購入いただけます!アプリのダウンロードはこちら(iOSの方Androidの方)から。

「アイドル時代は第二の青春でした」と語る白石さんの30代の楽しみ方

白石麻衣

高台のある小ぶりで華奢な盃を白く長い指ですっと摘み上げた白石さん。その様子があまりに美しく、撮影を見守っていたスタッフからため息が漏れた。酒器を自然に扱えるのは経験を積んだ大人の証だ


今月号は「東京のリアル」に迫るべく、32歳、45歳、52歳という3つの年齢に着目している。そのカバーモデルを務めたのは、まさしく32歳の白石麻衣さん。

撮影の合間、本号の別企画にバナナマンの設楽統さんが「52歳」の代表として登場することを告げるとぱっと明るい顔になり、「そうなんですね!素敵な大人の方と同じ号に出られるなんて嬉しい。乃木坂46のメンバーだった頃から共演するたびにたくさん楽しませていただいたので」と懐かしそうに目を細めた。

思えば、本誌に初登場した7年前の彼女は同グループの絶対的エース。ソロでも“写真集女王”となり、2018年「今年の顔」にも選ばれた。

柔らかな雰囲気の持ち主ゆえに大人びた印象だったが、あの頃はふとした瞬間の笑顔にまだあどけなさも透けていた。

それから年齢を重ねて、今回は神楽坂の路地に立つ居酒屋で日本酒が似合う32歳の女性を等身大で表現。彼女が盃を手に取り頬杖をつく姿には、経験を積んできたからこそ醸し出せる大人の色香がそこはかとなく漂う。

どうやら、お酒はまあまあいける口らしい。酒席を囲む時はもっぱら聞き役に回って、ゆっくりじっくり味わうという。

それを受けて、この店では日本酒の飲み放題が楽しめること、しかも手頃な値段で100種類以上もの銘柄が味わえること、一般的には出回りにくい珍しい食材を使った酒の肴も充実していることを伝えると、その好奇心を露わにした。

20代の頃はいろいろなジャンルの料理を試したが、32歳のいまはやっぱり和食が好きだということを再認識する毎日。

相変わらず料理をするのも好きで「いまは蒸籠を使った蒸し料理にハマっています。春は美味しい野菜が多いから献立を考えるのもワクワクする」と教えてくれたのだが、つまりは自然体でいられる、落ち着くべきところに落ち着いたのだろう。

「30代は楽しいという噂です。ポジティブな気持ちでいます」


ところで32歳という年齢は、大学を卒業して社会人になった場合、10年目の節目に当たる。

若さが徐々に通用しなくなり、仕事では即戦力として成果を出すことが期待されるのもこの頃だ。そこで焦燥感に駆られる人もいれば、「私は私だから」とマイペースを貫ける人もいるだろう。

白石さんは19歳で乃木坂46の第1期生オーディションに合格したのを機に仕事をスタートさせており、また、芸能界という特殊な環境に身を置いているので、ライフステージに対する価値観も一般的なものとは異なりそうだが、実際のところ、自分の年齢をどのように受け止めているのだろうか?

白石麻衣


「私は20代のほとんどを乃木坂46として過ごしてきました。楽しい時、うれしい時にはメンバーと笑い合い、辛い時には支え合って、励まし合って。あれはまるで第二の青春のようでした。

28歳でグループを卒業してからしばらくは、自分との戦いの日々。ひとりになったのだから頑張らなければいけないと意気込んで。いまはようやく地に足が着いてゆったり構えられるようになった実感があります。

よく『30代が一番楽しい』と聞かされていたのですが、本当にそう。20代をがむしゃらに走り抜けた分、30代は肩の力を抜いてのびのびとしていいんだと思えるようになったので、この先は再スタートするようなイメージで人生を謳歌していきたいですね」

そう話す白石さんは、たおやかさの中に芯の強さを垣間見せた。昨年の5月号の撮影の時よりパワーアップした感もある。

事実、32歳の白石さんは躍動している。

反町隆史さんと杉野遥亮さんがバディを組んだ刑事ドラマ『オクラ〜迷宮入り事件捜査〜』や、芸人のシソンヌじろうさんが脚本を手掛けた『No Activity』シーズン2、花沢健吾さんが描く唯一無二の世界観を実写化した映画『アンダーニンジャ』など、作品への出演が相次いだ。

どれもこれもコメディ色が強い内容である。笑いを演出するのは難しいとよく聞くから、鍛えられたに違いない。

そう言えば『No Activity』の配信記念イベントで、出演者のひとりである中村倫也さんは、白石さんの熱演する姿に「勉強になった」と発言した。そのことに触れると、彼女は照れ臭そうに笑ってこう言った。

「シーズン1から参加していた豊川(悦司)さんと中村さんは息ぴったりでアドリブを連発していましたが、私は途中からの参加でしたし、お芝居そのものの経験も乏しいので、どこまで自由に演じて良いのか加減がわからず、台本の内容に徹するよりなかったのです。それがかえって新鮮だったのかもしれません。

こちらは逆におふたりから刺激をたくさん受けました。中でも役への向き合い方や本番への瞬発力が印象に残っています。

私自身は頭の回転が遅いので、今日のようなインタビューでも聞かれていることを咀嚼してからでないと言葉を返すことができないんですよ。自分の不用意な発言で相手に不快感を与えてしまったらどうしようって、ついネガティブに考えてしまって。

そういう性格だからこそ、その場その場で柔軟な対応を繰り出せる人が羨ましい。豊富な経験で培われた引き出しを開けてアドリブ劇をやってのける俳優の方々とご一緒すると、ただただ凄いなと思ってしまいます」

白石さんの口調にはいつになく勢いがあった。その表情はきらきらと輝いていた。そのことこそが彼女の熱意を代弁しているようで納得する。

これまでの本誌のインタビューで自分のことを「先のことはあまり考えないタイプ。何歳までこの仕事を続けるかもわからない」と発言したが、いまは「一つひとつの作品に真摯に向き合いたいという思いが以前より強くなっている」とのこと。

まさに地に足が着いて視界が確かなものになってきたということだろう。

「とにかく、負けず嫌い(笑)。だからやってこれました」


一方で、先の白石さんの話の中には聞き捨てならないフレーズもあった。「ついネガティブに考えてしまう」というくだりだ。

アイドル時代の姿を振り返っても、それは彼女とは程遠いことのように思われる。その感想を伝えると、ご本人は次のように言った。

白石麻衣


「物心がついた時からずっとネガティブでした。人前に出て何かをすることも苦手だったので、よく芸能界でやってこられたと思います」

では、どうやって乗り越えてきたのだろう。大勢の前に立つだけでも大変なのに、観客から笑顔を引き出したり、勇気を与えたりするようなことが、どうしてできたのだろうか?

「ネガティブな半面、負けず嫌いで意地っ張り。どっちなの!?と自分でもよく混乱してしまいます。

仕事で作品と向き合うことになったら、弱気な私が不安を抱えながらも、もうひとりの私がオールアップするまで走り抜いてやろうと拳を固める感じ。

ゲームのような勝負事には、周りが引くぐらい本気で挑みます。それでダメなら仕方がないと諦めるし、上手くいけば爽快な気分になる。

そんなことを繰り返しながらちょっとずつ自信をつけてきました。ファンの方には見抜かれているのではないでしょうか」

なるほど。だから、あの時も泣いたのだ。今年から日本テレビ系のバラエティー番組『ぐるぐるナインティナイン』の人気コーナー「ゴチ」のレギュラーになった白石さんだが、2回連続で最下位になった時、目から大粒の涙を溢れさせた。

「人に負けたことが悔しかったのではなく、できない自分に対して腹が立ってしまったから」と彼女は言った。

それを聞いてふと思う。他人と自分を比較するのではなく、自分軸で生きるようになると心が軽くなり、毎日が輝き始めると。

白石さんはそのことを悟ったから、自分らしさを全開にするのを厭わなくなったのかもしれない。

やっぱり、30代は面白い。新しい景色をいくらでも見ることができる。これからもっと開花しそうな白石さんを目の前にして、実感するのだった。

■プロフィール
白石麻衣 1992年生まれ。群馬県出身。乃木坂46の1期生として2012年に1stシングル「ぐるぐるカーテン」でCDデビュー。’20年に同グループを卒業。現在は女優、モデルとして活躍中。今年から『ぐるぐるナインティナイン』の企画「ゴチになります」の新メンバー。

■衣装
[1枚目]サテンドレス¥49,500、サテンシャツ¥25,300〈ともにROPÉ/ジュンカスタマーセンター TEL:0120-298-133〉、ピアス¥1,201,200、右手リング¥1,010,900、左手リング¥1,086,800〈すべてNIESSING/ニーシング青山 TEL:03-3499-1868〉、ブレスレット¥173,800〈ウノアエレ ジャパン TEL:0120-009-488〉、バッグ¥223,300、サンダル¥126,500〈ともにRODO/MAISON DIXSEPT TEL:03-3470-2100〉
[2、3枚目]ワンピース¥132,000〈LIVIANA CONTI/GRUPPO TANAKA(IZA PRESSROOM)TEL:0120-135-015〉、ピアス¥148,500、右手リング¥121,000〈ともにウノアエレ ジャパン〉

■Photos/Akira Maeda@MAETTICO, Text/Mio Amari


▶このほか:「生まれ故郷の関西と、この東京。居場所がふたつある感覚です」有村架純が語る、女優としての“今”



東京カレンダー最新号では、白石麻衣さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、今気になっている〇〇や、〇〇な話とは?

アプリのダウンロードはこちら(iOSの方Androidの方)から。

東京カレンダー2025年6月号の表紙

さあ、月刊誌最新号「東京のリアル2025」を今すぐ手に入れよう!

今月の『東京カレンダー』は「東京のリアル2025」。32歳、45歳、52歳から見た今の東京とは?

月刊誌『東京カレンダー』は、毎月21日頃の発売です。お近くの書店、コンビニでお求めいただけます。
紙版をお求めの方はこちらから

また、買いに行く時間がない方、近くのお店で売り切れてしまっている方には、インターネットでの購入もお勧めです。
通常版はこちらから
特別増刊はこちらから

最新号も過去号(約10年分)も、東カレアプリ内のコインで購入するのが一番お得です!(通常版のみ)
⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方Androidの方
※最新版のアプリをダウンロードしてください。

表紙カレンダー

表紙カレンダー

この連載の記事一覧