◆これまでのあらすじ
恋人いない歴7年。恋愛をあきらめて生きてきた税理士・寿人(32)は、趣味のソロキャンプ中に出会った結海(28)と交際することに成功した。今回は、番外編。
2年後、寿人の妹・華は、2人の挙式会場へ向かっていて――。
▶前回:34歳で彼女と初めての海外旅行。男が旅行中ずっとソワソワしていたワケ
番外編《華SIDE》
「あ…キレイ」
華は声をもらし、立ち上がった。
「結海さん、ほんとにほんとにキレイ!」
タキシードとドレス姿の寿人と結海が、親族の控室にやってきたのだ。
華は目を見開きながら、抱きつかんばかりの勢いで結海のほうへ駆け寄る。
「結海さん!おめでとうございます!」
「ありがとう。華ちゃん、振袖よく似合ってるね」
結海の耳元で、ダイヤのイヤリングが揺れている。それを見て華は、小さいときに憧れた、ファンタジー作品のプリンセスを思い出した。
― …お兄ちゃん、こんな幸せゲットしちゃったんだ。王子様じゃん!
2人から婚約の報告を受けたのは、去年の秋頃。交際1年半というタイミングで、寿人がプロポーズしたのだそうだ。
報告からもう半年が経つというのに、華は、自分の兄の身に起きている奇跡をまだどこかで信じられない。
「よかったね、お兄ちゃん」
鼻をすすっていると、結海さんによく似た可憐な雰囲気のお義母さんが、上品なケースに入ったティッシュを差し出してくれた。
お礼を言い、その柔らかいティッシュで目元をぬぐいながら、華は思い出す。
つい先週、結海さんと初めて2人きりでお茶をした、そのときのことを。
この記事へのコメント
番外編にもなってないような....
これなら全く別の一話完結で他のライターさんが書いた話を読みたかった。