男と女の答えあわせ【A】 Vol.257

年収1,600万・代々木上原在住の証券マンとの別れを決意した34歳女。決定打となったお金問題とは

A1:お金がかかりそうな女性に対して強い嫌悪感を抱いている点


俊介と出会ったのは、食事会の席だった。そのとき幹事を務めていた俊介は、気遣いができて優しく「いい人だな」と思った。

しかも、その後すぐにデートに誘ってくれ、初デートから意気投合する。

「沙織ちゃん、僕と同じ歳なんだ」
「だね。同学年って意外にレアかも」
「本当に?何月生まれ?」

うまくいく人と、そうでない人は、最初から決まっている気がする。俊介と二人で食事に行くのは初めてのはずなのに、不思議と自然体でいられた。

「俊介くんの趣味とかは?」
「僕は旅行かな。あとサッカーも好き。沙織ちゃんは?」
「私も旅行、好きだよ。あと美味しいご飯を食べるのも好き」

さらに、二人とも食べることが好きだったので、お気に入りの店の話でも大いに盛り上がった。


「すごいね、沙織ちゃん。詳しいね」
「ふふ。好きなんだよね」
「でも沙織ちゃんの良いところが、超高級店ばかりじゃない、ってことだよね」
「そうそう!安くて美味しいお店とか、大好き」

そんな話をしている時、俊介の声のトーンが少し変わった。

「沙織ちゃんって、意外に堅実な感じ?」
「うん。私は結構堅実だと思うよ。ブランド物とかにもあまり興味ないし…」
「そうなんだ!それはいいね」
「『その年収で、どうやってそのバッグを持っているの?』と聞きたくなるような子もたくさんいるよね…。そういう女子がさ、とにかく苦手で」

俊介が言っていることは至極真っ当のことだったから、私も共感する。

「わかる。そういう子、多いよね」

でも、この時の会話がやがて大きな意味を持つなんて、このときの私は知る由もなかった……いや、気づくことすらできなかった。

「沙織ちゃんは、自炊とかはするの?」
「するよ。料理するのも好きなんだよね」
「めちゃくちゃいいじゃん。堅実で料理も好きって、最高の奥さんになりそうだね」

この言葉を聞いて、私は思わず心の中で「よし!」と叫ぶ。


今年こそ、そろそろ結婚したい。

“最高の奥さんになりそう”ということは、私を結婚相手として見られる、ということだろう。

「俊介くんは、結婚願望あるの?」
「あるよ。今すぐにでもしたいくらい。沙織ちゃんは?」
「私もあるよ。来年35歳になるし、それまでには結婚したいと思っている」

独身で、結婚願望もある。話していてもいい感じだし、俊介との未来は明るそうだ。

そしてこの後もう一度食事をした際に、ちゃんと俊介のほうから言葉にして言ってくれた。

「結婚も視野に入れて、付き合いたいと思ってる」
「嬉しい。ありがとう」

しかし、交際を続けるうちに、初めて俊介に会ったときから薄々感じていた違和感が、次第にはっきりとした輪郭を持ち始めることになる。

この記事へのコメント

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No Name
沙織も交渉下手過ぎ。彼主導で同棲話を進めてきたら、自分からも希望とか諸々交渉しないと!スプレッドシートもそんなにボロクソ文句を言う位なら最初に、「え?もっとふんわりで良くない?まさか一円単位まで管理するとか止めてよ〜」と言えば、彼もまさかしないよ、ただざっくりでもシート使う方が分かり易いかと思っただけ みたいに笑って返すと思うけどなぁ。沙織、30代半ばならもう少し話し合い歩み寄る等しないとあっという間に還暦を迎える事になる。
2025/03/02 05:2366返信1件
No Name
スプレッドシートスプレッドシートってうるさい!
2025/03/02 05:1353
No Name
お金の話はこれが正解というのは無い。ケースバイケース、十人十色、双方が納得してるのであれば相場とか世間的な意見も時には関係なくなる。先程昨日のコメント欄読んだけれど意見が分かれるのも当然かなと感じた。にしてもスプレッドシートそんなに嫌? 仕事の癖が出ただけかもしれないのにすごい言われよう。
2025/03/02 05:4850
もっと見る ( 28 件 )

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