「彼女の通話履歴を見て…」28歳男のヤバい行動。爽やかエリート社長の裏の顔とは(3/3)[東京カレンダー

「それでさっそくなんだけど、高知に住んでる妹からね、日向夏がたくさん届いたの。

まだまだあるから、結海ちゃんと一緒に食べたいわ。あと、研哉の分も、持って帰ってもらいたくて」

「そ、そうですか…」

マチコおばあちゃんは、電話で、その日向夏がいかにみずみずしくておいしいかを話している。

それを聞きながら結海は、研哉にほとほと嫌気がさしていた。

― なんで引き下がらないんだろう。

「結海さん、いつ空いてるかしら？」

ワクワクした声色に、結海は、何も言えなくなってしまう。

― 無難な切り抜け方ってなんだろう。仕事がしばらく忙しいから会えないとか？明日からしばらく海外出張だとか？

そこまで考えて、結海は我に返る。

― こんなんだから、研哉に漬け込まれるんだ。

研哉は、マチコおばあちゃんを最後の砦として、この期に及んで結海を引きつけようとしているようだ。

駅の柱に貼り付けられた広告サイネージに、研哉が好きでよく飲んでいたビールが映っている。絹のような白い泡を見つめながら、結海は言った。

「…マチコおばあちゃん。ごめん」

「んー？」

「研哉くんから何も聞いてないと思うけれど…私たち、別れたんです」

「…あら」

サイネージが一瞬、黒い画面になった。一瞬、自分の泣きそうな顔が映って、すぐに化粧品のCMが始まる。

「えええ…そうなの？」

「ごめんなさい、マチコおばあちゃん」

あんなに優しくて、たくさんの楽しい思い出をくれたのに。

「ほんと、ごめんなさい…」

意外なことに、マチコおばあちゃんも同じように「ごめんなさい」と謝ってきた。

「あの子、別れているのに、昨日『これで結海に連絡できるよ』なんて言ったの？昔から、聞き分けが悪い子なのよ。別れたくないって、ダダをこねているんでしょう？」

「えっと…」

「謝ることなんてないわ。こうなるってことは、研哉に何か問題があったはずだもの、本当にごめんなさいね」

恐縮する一方の結海に、マチコおばあちゃんは、いつになく明るい声で言った。

「私としては、結海さんとこれからも会いたいけれど…それは良くないものね。残念だけれど…楽しい時間を過ごせて、私は幸せだったわ」

「…私もです。幸せでした。本当に」

祖母を早くに亡くした自分の心に、マチコおばあちゃんはあふれんばかりの温もりをくれた。

「ありがとう。たくさんもらった楽しい記憶だけで、ずっと生きていられるわ」

こんなに優しい人が人生にあらわれてくれた。そのありがたさに、結海は涙ぐむ。

「あのね、幸せになってね。何をして誰と一緒にいるかは、自分が決めていいんだから、私にも研哉にも、悪いなんて思わないこと。遠くから、あなたの幸せを毎日祈るわ」

何度も「ありがとう」を伝え、電話が終わる。

結海はぼんやりしたまま歩き出し、田園都市線へと向かう下りエスカレーターに乗った。

ふとLINEのアプリを開くと、15時頃に寿人から連絡が入っている。

― あ…うれしい。

『寿人：結海さん。近いうちに、ご飯にいきましょう。また軽くお茶でもいいから』

途端に、マチコおばあちゃんの声が、頭の中で再生される。何をして、誰と一緒にいるかは、結海ちゃんが決めていいんだから――。

結海は、指を動かした。

『結海：はい、今週末にでも、飲みにいきましょうか。私も、お話ししたいことがあるんです』

▶前回：「元カレと縁を切れない…」家を訪ねてくる彼を拒否できない28歳女は、ついに…

▶1話目はこちら：「自然に会話が弾むのがいい」冬のキャンプ場で意外な出会いが…

▶NEXT：3月5日水曜更新予定
結海と寿人の久々の夜。思わぬ展開に…？

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No Name

税理士だって暇つぶしで無料相談を受けている訳ではないのだから、失礼にもほどがあると思う。こんな非常識な男がエリート社長な設定にも違和感しかない。LINEの通話履歴を盗み見てどうやって彼の事務所が分かったんだろう？もしフルネームであればネット検索でヒットするかもだけどその辺り浅く書かれているから適当に話作ってるように感じてしまう。次は結海とのデートに研哉が乱入か？

2025/02/26 05:2523返信2件

No Name

読みにくい箇所も多いし内容も暗いし面白くない。

2025/02/26 05:1615返信5件

No Name

相変わらずのスローテンポでなかなか話が先に進まない。マチコにはっきり別れた事伝えたのは良かったけど。

2025/02/26 05:1615返信1件

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