運命なんて、今さら Vol.7

「元カレと縁を切れない…」家を訪ねてくる彼を拒否できない28歳女は、ついに…

◆これまでのあらすじ

恋人いない歴7年。恋愛をあきらめて生きてきた税理士・寿人(32)は、趣味のソロキャンプ中に結海(28)と出会う。結海と久々に電話で話した寿人は、結海の家に元カレが出入りしているのを知ってしまい…。

▶前回:気になる女性との通話中に聞こえた“あの音”。32歳男はガッカリしてしまい…


「はあ…」

結海はベランダの柵に両手をついて、自分の白い息が用賀の街に溶けていくのを見つめた。

先ほど研哉に強く握られた腕が、まだじんじんする。

― あの人、早く帰ってくれないかな。

研哉は今、バスローブ姿のままリビングに居座っている。近くにいるのが怖い結海は、こうしてベランダで凍えているしかない。

「俺は別れ話…まだ納得してないよ」
「お前さ、誰のおかげで実家がうまくいったと思ってんの?この恩知らず」

耳に残っている研哉の乱暴な声に動悸がした。

腕よりも、むしろ耳の奥のほうがひどく痛む。

「あ。雨、止んでる」

夕方に降り出した雨はいつの間にか止んでいて、真っ黒い空だけが広がっていた。

日中天気が良ければ、この部屋のベランダからは富士山が見える。結海は、漆黒の向こうに、見えるはずもないその影を探す。

あの日、寿人と出会ったキャンプ場から、大きな富士山が見えたのを思い出しながら――。

「お前そこで何してんの?」

突然、ガラス戸がスライドされた。耳慣れた尖った声に、心臓が跳ねる。

「別に…。もう雨止んでるから。帰ってもらっていい?」

「ちょっとだけ中で話そうよ。そこじゃ寒いでしょう」

研哉は突如優しい声で、そうささやいた。

この記事へのコメント

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展開がスロー過ぎて疲れる。 研哉の酷さからそう簡単には引き下がらないだろうと思わせておいて「愛してない」と冷たく言ったら即撤収してくれた? やっぱり言いなりになっていた結海も悪かったと改めて思ったけど、研哉はまだ諦めてないよね....
2025/02/19 05:188
No Name
Netflixの韓国ドラマでよくあるような、元カノの新しく好きになった男に近付いて邪魔をする的な展開? そもそも結海のキャラが無理なのでもうどうでもいい。
2025/02/19 05:247
No Name
この調子だと研哉とのいざこざをダラダラと最終話まで引っ張るのか.... 無料相談はマウントと嫌がらせだろうと簡単に想像できる。
2025/02/19 06:107
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