1808年に創業し、独自の複雑味と卓越したバランスで多くのファンをもつシャンパーニュメゾン、アンリオ。
今年10月、そんなメゾンから最もプレミアムな「キュヴェ エメラ 2013」が発売された。
特別な夜も彩るボトルだと、ある男女の物語を例にご紹介する。
いつもふたりで飲む泡と違うものを選んだ彼。自ずと、特別な夜を期待する
20代後半から、仕事終わりに飲む1杯のシャンパーニュの虜になっていた。特にハードな仕事終わりの最初のひと口は、あの泡と香りが一瞬で心身をほぐしてくれる。
30代に入るとフレンチでボトルを頼むのが定番になった。泡が食材の香りをぐっとたたせる瞬間がたまらない。
つい先日、女友達とウナギの名店で味わった白焼きと熟成シャンパーニュの相性も抜群だった。
いつしか自分にとって食事を楽しむために欠かせない存在となった泡酒。特別な夜にも当然そばにあるもので奮発するときはキュヴェにするのが、お決まりだ。
私の誕生日、11月30日に飲む1本も楽しみにしていた。毎年、彼に気になる店に連れて行ってもらい、お気に入りを開ける日になっている。
今年は「ザ・リッツ・カールトン東京」45階の『Héritage by Kei Kobayashi(エリタージュ バイ ケイ コバヤシ)』へ。三ツ星をもつシェフのパリのお店に行った姉に話を聞いてから、憧れていた店だ。
今宵案内されたのは、窓際の席。夜景こそ好きな人と見るものだなとふけっていると、シャンパーニュのボトルがやってきた。いつものメゾンと思いきや、違う。
「前に飲んでみたいって言ってたよね?」
マットゴールドのラベルを見て彼が言う。アンリオの「キュヴェ エメラ 2013」は、私が先月ワインショップのSNSで見かけ、いつか飲んでみたいと思っていた新しい泡。
お店で飲んだらもっと贅沢なのに憧れのレストランで開けてくれるなんて、深い気持ちが伝わってきて嬉しい。
彼と付き合って2年。今日で私は34歳。ひとつ上で会話も食の趣味も合うできた彼が、特別なお祝いを用意してくれてもう感激した。
レースのような舌触りと贅沢な飲み応え。思わず目を合わせ、笑みがこぼれる
「お誕生日おめでとう」の言葉で乾杯してその泡を口に含むと、繊細なレースのような口あたり。1杯目にふさわしい洗練された酸とフレッシュな柑橘の香りが、誕生日に華やぎを与える。
味わいには香ばしさや10年熟成こその芳醇さがあって、思わず彼と「本当に美味しいね」のアイコンタクト。
このシャンパーニュを飲んだあと、目に映る夜景はさらに鮮やかになった感覚に。
「エメラって、ギリシャ神話に出てくる“昼の光の女神”らしいよ」と彼に話すと、「逆にそれを夜に飲むのが面白くない?月と太陽が集まった気分」とグラスを仰ぐ。
コクがあるのに辛口だから食事に合いやすくて、ウニを添えた人参のムースやチーズシューのアミューズとも、藁で燻製された濃厚なオマールエビのひと皿とも、最高の相性だ。
クリストフルのカトラリーに見合う品格ある泡は女性を奇麗にしてくれそうでもある。