年収4,000万男子の恋愛事情 Vol.9

麻布十番在住・29歳港区女子に「何の仕事してるの?」と尋ねたら、意外な返事が…

「あ、そう。じゃあ簡単に説明するわ。今は再生可能エネルギーの供給契約が主な仕事。市場の価格変動が激しいから、政治情勢や環境政策なんかの要因を分析しなきゃなの」

「へぇ。エネルギー部門にいるんだ?さすが、エリートなんだね!」

玲の回答に反応したのは、秋山だった。

「エリートなの?やっぱり玲ちゃんすご〜い!かっこいいなぁ♡」

香澄がニコニコしながら玲を持ち上げるので、俺は嫌な予感がした。


「ところで…」

香澄は、ミナに視線を移した。

「ミナちゃんって、どんな仕事をしてるの?食事会の時に聞けなかったから気になるぅ!」

― やっぱり…。

俺の予感は的中した。香澄は玲を褒めちぎった後で、ミナの職業をみんなの前で暴くつもりなのだろう。

香澄は、ミナが六本木で夜職をしていると思っている。秋山とミナがそういう店に入っていくところを目撃したからだ。

「私?」
「うん!仕事、何してるの?」

急に香澄に聞かれたミナは、驚いている。

それもそうだろう。香澄の言葉は仲良くなりたいという優しいトーンで発せられたものじゃなかったから。


「秘密」
「えっ?」
「だから、秘密」

ミナは表情ひとつ変えることなく、香澄の質問をサラリとかわした。

「それって…言えないような職業だからってこと?例えば、男の人とお酒を飲む仕事だとか。それとも、もっとヤバいことしてお金もらってるとか…」

香澄の発言に全員が固まる。しかし、ミナは俺たちが思っているより強かった。

「そう見えるなら、そうかもね」

否定するわけでも、真の職業を明かすわけでもなく、さらりとかわしたのだから。

しかし、香澄も引かない。

「ふ〜ん。でも、もうすぐ30歳になるのに、どうして定職に就かないの?将来が不安じゃないの?

それとも、経済的に頼っている人がいるとか?玲ちゃんみたいに親が太いわけでもないよね?」

「はぁ…」

ミナはため息をつく。

そりゃそうだ。話したくないことは話さなくていいし、旅行中のディナーで責められるなんて、予想外だっただろう。

しかし、香澄はミナへの追及をやめない。

「私は、心配してるんだよ?今からでもまだ遅くないって。今どき、ふらふらしてる港区女子みたいなのって流行らないよ」

「香澄ちゃん、もうやめなよ」

ミナが歌手を諦めきれず、もがいてるのを知っている俺は、我慢できずに口を挟む。

この記事へのコメント

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No Name
だから、親しくもない女子メンバーで旅行なんて行くから🤣
香澄はいじめ体質? 想像以上のクズだった。
2024/11/08 05:5816返信1件
No Name
これでようやく鈍い翔馬の中から香澄は完全に消えた!!二度と食事にも行かないだろうね。(気持ちは既にミナ?)
香澄は人を不快な気分にさせる天才だと思う。香澄と結婚したらお金の搾取は勿論、しょっ中隣近所とかタワマンボスとかの 根も葉もない噂を流して嫌われる奥さんになるだろうね。
2024/11/08 05:2814
No Name
料理は大体の人が教わったり繰り返しくることで上達するけれど、中には全くセンスのない人がいて、何作っても微妙な見た目と味で永遠に上達しない場合もあるから。香澄がそうなんだろうけど。ミナの料理上手が気に食わなくて、よし!公開処刑してやろうとか性格悪過ぎ。
2024/11/08 05:5912
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