男と女の答えあわせ【A】 Vol.237

「何これ…」交際半年の彼と初の温泉旅行。男のポケットから、女が見つけた衝撃のモノとは

A1:将来を見据えて交際できる人だと思ったから。


大輔と出会ったのは、友人が開いてくれた食事会の席だった。がっしりとした体格で男らしい大輔を見て、最初から「良いな」と思った。

小学校から女子校育ちの私は、男性に対する理想が高いほうだと思う。

ただ実家は千代田区の番町にあり、経済的には不自由したことがなかったので、相手の年収にはあまりこだわりがなかった。

「大輔さんは、どちらのご出身ですか?」
「僕は名古屋です。遥さんは?」
「私は都内で…」

あまり大きな声では言えないけれど、私は今でも実家暮らしだ。「結婚したら出よう」とは思っているものの、居心地が良くて、ついダラダラと居続けている。

「遥さん、ご実家に住んでいるんですか?」
「そうなんです。もうすぐ30歳になるのに、恥ずかしい話ですが…」
「いえ、ご実家が近いならそれもありですよね。逆に羨ましいです」

にこやかに受け止めてくれる大輔を見て、私はさらに彼を良いと思った。

翌日、彼のほうからしっかりと食事に誘ってくれ、私たちは麻布十番の和食店でデートすることになった。


食事をしながら、お互い色々なことを話し合う。

「遥さんって、普段お料理とかされるんですか?」
「しますよ。母は専業主婦なんですけど、私も手伝うようにはしています。お料理とかお掃除とか…意外に好きなんです」

アピールするわけではないけれど、実家暮らしにしては、家事はできるほうだと思う。

「家庭的なんですね」
「大輔さんは?」
「僕は人並みに…という感じですかね。まったくできないわけじゃないですが、男のひとり暮らしなんで適当になることも多いです」
「それは仕方ないですよね」

今日も大輔は穏やかで、素敵だった。人の話を一生懸命聞いてくれるし、優しい。

今は不動産関連の会社で事務をしていること、学生時代の話など…。大輔が聞き上手だったのでつい色々と話してしまう。

「私は次女なので、かなり自由です。仕事も『好きなことをしていいよ』って感じでしたし。大輔さんは?」
「僕は長男ですが、適当ですよ。普通の家庭ですし。今のゼネコンの仕事も、親とかノータッチです」
「ご両親は?今も名古屋ですか?」

そんな話をしていると、大輔の声のトーンが少し下がった。


「ちなみに遥さんって…今お付き合いされている方とかいらっしゃるんですか?」
「いないですよ!いたらこうやって、食事とかしないですし」
「僕とかどうですか?」

突然のことで、一瞬言葉が出てこなくなった。もちろん嬉しいし、「大輔と交際できたら幸せだろうな」ということが容易に想像できる。

ただ、私は今年で28歳。時間はない。

だからそれを、最初から正直に伝えることにした。

「ありがとうございます。すごく嬉しいです。でも私、結婚がしたくて…正直、結婚願望がなかったり、将来を見据えられない方とはお付き合いしたくなくて。大輔さんは、結婚する気がありますか?」

ここで「NO」と言われたら、もう終わりだ。しかし大輔は、真剣に考えてくれているようだった。

「僕も同じです。結婚を前提に、付き合っていただけますか?」
「はい…!」

こうして、めでたく交際することになった私たち。しかし半年記念の温泉旅行で、私の心は大きく揺れ動くことになる…。

この記事へのコメント

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No Name
何気なくポケットの中を探ると

って、それがあたかもごく自然で普通な事のように言ってしまう遥の方がよっぽど「どういうお育ちをしてきたんだろう」と思う。
2024/10/13 05:3075返信4件
No Name
夜のお店といっても色々あるけど、ゼネコンの地方出張と聞いているなら夜の付き合いもあるでしょ。しかもお店に行ったこと聞いていなかったって、そこまで全部言わなきゃならないもんかな。小さすぎる。
彼女の父親は、そんな付き合いもない職業なのかな?
付き合いも仕事のうちだよ
2024/10/13 05:3545返信2件
No Name
そんなにモヤモヤして不穏な雰囲気にする位なら、名刺の事聞けば良かったんじゃ?
「好き嫌いがあると子供に格好つかないよね」対しては何と答えればよかった?!
キモいし面倒だし何なんだこの女は。
2024/10/13 05:3942返信3件
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