2024.10.13
韓国グルメ特集を行うにあたり、やはり本場の人に意見を聞いてみたい!と、韓国人フーディーのおふたりにご登場を願った。
キム・アヨンさんとボビー・チョンさん。
今回、お話を伺ったのは……
日本で飲食店のプロデュースやPRを手がける「Number K」代表。京都、東京、韓国を行き来し、各地のグルメに精通。インスタグラマー(@ahyoungbaby)としても人気。
ソウルにある『山清炭火ガーデン』など、話題店を複数手がける。10年ほど前から月イチで来日し、予約困難店からB級グルメまでを食べ歩く。インスタ(@bobby_chung)。
◆
韓国の食文化で育ち、世界のレストラン事情に精通する彼ら。その知見を元に日本の韓国グルメについて伺うべく、アヨンさんお気に入りの『アジョシ 虎ノ門』に対談の場を設けた。
ソジュを片手に語られたのは、韓国の人々が大切にしてきた食の本質だった。
日本の韓国グルメの幅が広がってきた
編集部:今日は日本の韓国料理について伺いたいと思っています!早速ですが、アヨンさんは韓国出身で20年前から関西在住。日々、美食を求めて、東京や韓国を行き来していらっしゃいます。
アヨン:日本での飲食コンサルをはじめ、韓国でコーディネーター兼通訳もしているので韓国の最新食事情もお任せください!
ボビー:私は韓国でお店を6店舗ほど経営していますが、日本の食文化がすごく好きで、もう10年以上、月イチペースで日本を訪れています。アヨンさんにはよく日本のお店を紹介してもらっています。
編集部:早速、本題なのですが、本場の方から見て、日本の韓国グルメってどうでしょうか?
アヨン:韓国のお店が支店を出すことも多くなり、大久保を中心に最高に盛り上がっていますね。とても光栄なことです。
ボビー:日本と韓国の違いはお店の形態ですね。韓国だとひとつの料理に特化した専門店が一般的なんですが、日本はひとつのお店でいろんな料理を食べることができます。日本ならではですね。
アヨン:どちらも良さがありますね。先日も、フェを食べに新大久保の『水産市場』に行きましたが、お客さんは韓国人だらけで、雰囲気も現地そのものでした。
あと、よく言われるのが食材の違いですね。唐辛子の辛さもそうですが、特に野菜が違うなって感じます。白菜や大根にしても日本は水分が多いので、お鍋やおでんに合う。逆に韓国の白菜は締まっているので、キムチなどを漬け込むのに向いていますね。
編集部:確かに、取材をしていても、現地と日本のキムチの違いを指摘する人が多いですね!
ボビー:韓国の野菜は、少品種大量生産、一方、日本は多品種少量生産というイメージがあります。日本だと地方ごとに違う野菜を作っていたりしますが、韓国だとあまりないですね。
アヨン:だから、野菜の種類をウリにしている店は日本らしいなと思います。キムチの種類も日本の方が多いですね。トマトとかとうもろこし、梅干しのキムチなんていうと韓国から悲鳴が上がります(笑)。
そういったものは日本ならではの進化かもしれませんね。実際、そういったお店には女性が押し寄せています。
編集部:なるほど。日本独自の進化を遂げた韓国グルメもあるんですね。面白いです!
世界で広がり続ける韓国グルメの可能性
ボビー:私は赤坂の『赤坂一龍 別館』が好きなんですが、あの店は本当に現地のようです。味わいも一緒。そういう意味では、日本で食べられる韓国料理はトラディショナルな料理が多いかもしれませんね。
その点、韓国や世界ではイノベーティブと掛け合わせた「モダンコリアン」に注目が集まっています。
アヨン:ニューヨークで星を獲得した『Atomix』やその姉妹店『Atoboy』などは韓国料理のエッセンスである熟成や発酵、小さなおかずの“パンチャン”を取り入れているんです。
編集部:世界的に見ても韓国の食文化が注目されているんですね。
アヨン:やっぱり野菜中心でヘルシーな印象もありますし、韓国料理の核ともいえる発酵と熟成は“美人”を作る要素でもありますから(笑)。
編集部:それがアヨンさんの思う韓国グルメの魅力でもありますね。
アヨン:そうですね。
編集部:では、最後にボビーさんの考える韓国料理の魅力ってどこにありますか?
ボビー:それは、安らかさなのかもしれませんね。強い料理が目立ちますが、実は韓国料理は一食で食べるよりも、毎日食べるような日常食になった時に一層輝くのだと思っています。
ぜひ、皆様にも日常から韓国グルメを楽しんでもらいたいですね。
編集部:読者の方には、ぜひこの号を読んで、好きな韓国グルメに出合ってもらいたいですね。本日はありがとうございました。
京都に本店を構え、冷麺が人気の『アジョシ』の東京一号店。夜は冷麺のほか、鍋や一品物も豊富で酒場としても評判。
自慢の京都冷麺は、作り置きを一切せず、すべての麺をオーダー後に、その場で手打ちして作られる。そのため、弾力、のどごしは段違い。
食感が変わってしまうため、“賞味期限はわずか5分”と言われるほど。
「京都冷麺 極」¥1,650。
「ビビン冷麺」¥1,430。
特製の「アジョシ鍋」¥4,378。中央には、センマイや京丹波高原豚、牛肉のほか、キャベツやニラがたっぷり。それらを特製の辛味噌ダレで煮込んでいただく。
鍋の外側では韓国風の卵焼き「ケランマリ」を焼き上げる。
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