秋の夜長に楽しみたい!背筋が凍りつくようなホラー映画には、濃厚なロゼワインを合わせて

ワイン選びをより楽しいものにするべく、東京カレンダーは映画とのマリアージュをご提案。

それぞれのスペシャリストが、勉強中の編集部員に指南!今夜はワインを片手に、おうちシネマはいかが?

▶前回:Vol.19「『ハイジ アルプスの物語』×スイスのシュロシュグット・バシュトベル ミュラー・トゥルガウ」



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小島のレストランが舞台のグルメ&ホラー・コメディ


:今年の夏は暑かったね〜。新谷さんに背筋が凍りつくようなホラー映画をリクエストしたところ……。

新谷:東カレらしく、グルメ要素を盛り込んだ作品『ザ・メニュー』にしました。出演はレイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト。

嵩倉:「007」シリーズのM、『マッドマックス』のフュリオサ、『X-MEN』のビースト。みんなそれなりに強そうですけど、いったいどんな映画なんですか?

新谷:アメリカ北西部、太平洋沖の小島に超有名シェフ、ジュリアン・スローヴィクのレストラン『ホーソン』があります。世界一予約のとれないレストランとして知られ、ここで食事をとることができるのは選ばれしひと握りのセレブのみ。

ある日このレストランに集まったのはグルメおたくとそのパートナー、料理評論家と編集者、このレストランに11回も訪れた金持ちの老夫婦、落ち目の映画スターとその付き人、若きIT長者3人組。あっ、ダイニングにもうひとり、謎の女性もいましたね。

嵩倉:メンバーのプロフィールをうかがっただけで、なにやらキナくさい感じです。

新谷:ですよね?前菜の生牡蠣、アミューズの「白瓜 ミルクスノー」から料理が始まり、皿全体を「島」に見立てたホタテの料理なんてほんとに素敵。

ちなみに料理はサンフランシスコの三ツ星レストラン『アトリエ・クレン』のドミニク・クレンシェフが監修しています。

:その「島」に合わせてグラスに注がれたワインはカロリーヌ・モレのシャサーニュ・モンラッシェ。王道の選択だな。

嵩倉:さすが細かいところをチェックしてますね。

:仕事ですから。

新谷:そして4皿目の料理「混乱」あたりから物語は怪しくなってきます。

じつは今宵のメンバーは偶然集まったのではなく、シェフのある目論見のため故意に集められた人々。ただひとり、グルメおたくのタイラーが代役として連れてきたマーゴを除いては……。

今月のワインシネマ『ザ・メニュー』


予約が取れない店の、超一流シェフが振る舞う極上のフルコースを味わうために、とある小島にやって来たワケありの客たち。

一品、また一品、メニューが運ばれてくる中で、想像し難いサプライズが展開する。

レストランという限られた空間を舞台に繰り広げられる風刺の効いたサスペンス・コメディー。

映画『ザ・メニュー』のイメージイラスト

この異様さ、この狂気!超一流シェフが振る舞う極上フルコースに驚愕する


何とも不気味な存在感を放つシェフ役は、レイフ・ファインズ。予定外の客として物語をかき乱すマーゴ役は、アニャ・テイラー=ジョイ。

そして、映画を観た後は、きっとタイトルの意味にぞっとする!



:この映画、ホラー・コメディにカテゴライズされてるけど、そんなお笑い要素あったかな?

新谷:ここでいうコメディとはダークユーモアですね。

:あ〜、いわれてみれば。「タイラーの駄作 生焼けの羊肉」はブラックユーモアたっぷり。

新谷:それ以前にこの作品、虚栄心から予約困難なレストランに足繁く通い、うんちくだけで料理の本質である美味しさについて論じない、そのような客を痛烈に皮肉っています。

本物のチーズバーガーには濃厚なロゼがばっちり


嵩倉:ネットの口コミでは、観終わった後、無性にチーズバーガーが食べたくなると……。

新谷:物語の核心に触れることになるので詳しくは申し上げませんが、私もチーズバーガーが食べたくてたまらなくなって、近くのバーガーショップへ一目散に駆け込みました(笑)。

:分かる、分かる。それでこの映画を観ながら楽しむのは、チーズバーガーと合わせたらばっちり間違いなしのワインにした。

バーガーにもいろいろあるけれど、劇中のそれと同じくツナギを使わず肉汁たっぷりのチーズバーガーを想定し、ローヌ地方南部のロゼワイン。

嵩倉:えっ、これでロゼ?

:いいところに気がついたね、クラリン(嵩倉)。果皮を果汁に12〜24時間漬け込んだこのロゼは軽めの赤といった感じの濃密さ。

赤ワインがまだ喉を通りづらいこの時期、重宝するのがタヴェルのような濃いめのロゼだ。温度は白ワインくらいに冷やしめで。

「Château d'AQUERIA TAVEL(シャトー・ダケリア タヴェル)」

「Château d'AQUERIA TAVEL」


その歴史は1595年にさかのぼる、ロゼの銘醸地・タヴェルの名門がシャトー・ダケリア。2022年からは北ローヌの名門、ギガル社の傘下に入り、さらなる品質向上が期待される。

赤ワインもかくやのリッチな果実味と骨格を持ちつつ、フレッシュさとエレガンスを兼ね備える。

¥3,520/ラック・コーポレーション TEL:03-3586-7501



新谷:ジュースよりも健康的!

:ところでマーゴはチーズバーガーだったけど、スローヴィクに作ってもらうならどんな料理?

新谷:私はおいなりさんです。おじいちゃんがお豆腐屋さんだったから、その油揚げで。

嵩倉:私なら焼き魚定食かな。サワラの西京漬けかサバの塩焼き。で、柳さんは?

:オムライス。みんな世界一のシェフに庶民的な料理を作らせてどうするの(笑)?

マリアージュをお届けするのはこの3人!

ワインジャーナリスト・柳 忠之氏


幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト。チーズバーガーには赤ワインと思われがちだが最適なロゼが見つかり、悦!

映画コラムニスト・新谷里映氏


映画を中心に、書いたり取材したり喋ったり。すっかり慣れてしまったおひとり様の外食。フレンチのディナーはハードルが高かったけれど時間の問題か……。

東京カレンダー編集部・嵩倉伶奈


本連載の担当になって7年目。ワインの知識は積みあがっていると信じ、柳氏にしがみつく日々。見栄や同調でなく、自分に正直に美食を求める主人公に共感しまくり!

▶このほか:今年の“鍋初め”は、豚の旨みが凝縮された韓国鍋が食べたい!東京で味わえる本格カムジャタンとは

東京カレンダー2024年11月号の表紙

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