2024.09.23
恋のジレンマ Vol.4◆前編のあらすじ
大手食品メーカーに勤める萌絵(26)は、社内運動会に参加し、同僚たちに手作り弁当を振る舞って高評価を得た。その流れで、同僚の板垣に毎週昼食を差し入れることに。しかし、実は萌絵は料理が苦手。弁当は、家事代行スタッフに依頼したものだった…。
▶前回:週1回、意中の彼にお弁当を作る25歳女。料理に隠された“後ろめたい秘密”とは
頼もしい味方【後編】
「板垣くん。実はあのお弁当、私が作ったものじゃないの…」
萌絵は、正直に伝えようと思っている言葉を頭の中で繰り返しながら、職場から帰宅した。
― やっぱりガッカリしちゃうかなぁ…。
板垣には、すでに3回も弁当を差し入れている。
どれも大好評で、作成者が別にいるなどと疑う様子もないので、今さら事実を公表できる状況ではない。
玄関からリビングドアを開けて中に入った萌絵は、出勤時の部屋の様子と若干の違いを感じる。火曜日の今日は、家事代行サービスを依頼している日なのだ。
担当してくれているのは、須間という30代後半の女性で、何度か顔を合わせたことがある。ややふっくらとした体形の穏やかそうなタイプの女性だ。
須間が、昼間のうちに訪ねて綺麗に部屋を掃除してくれているので、漂う空気がどこか澄んでいるように感じられる。
萌絵は、すぐにキッチンに向かい、冷蔵庫を開けた。
作り置きのおかずの入った容器の隣に、板垣に渡す弁当箱が並んでいる。
弁当箱を取り出し、蓋を開けてみる。
― うわぁ!美味しそう!
梅ぼし入りの鶏つくねにパプリカのマリネ、大葉入りの卵焼き。彩りのいいおかずがバランスよく盛り付けられていた。
にわかに湧きたった食欲に、先ほどまで頭を悩ませていた事案はかき消される。
萌絵はふと、リビングのほうに目を向ける。
― あれ…?何かしら…。
テーブルの上に、封筒のようなものが置かれていた。
たまに弁当に関するメモ書きが残されていることがあるが、それではなさそうだ。
封筒を手に取り、中に入った便箋を開いて目を通す。
かしこまったような文面を読み進めると、ある言葉が目に留まり、萌絵は眉をひそめた。
『しばらくお休みを頂きます。』
萌絵は、ゾワゾワッと胸がざわつくのを感じた。
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