前回:「手をつないだら、君のことが好きなのかわかると思ったけど…」デート中の男性からの衝撃のひと言
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道を歩いていて逃げられなくなることがあるなんて。3人の男性にまるで押さえつけられるかのように…両サイドから肩と腰を抱きこまれ、さらに手首をつかまれ、まるで川の流れに捕らえられたかのように、足に力が入らぬまま進んでいく。
「…離してください…っ」
びくともしない手首の力を振り払おうとしたその何度目かで、手に持っていた携帯が落ちた。私の腰に手を回していた男性がそれを拾い、私ではなくエリックさんへ手渡した。
「返してください」
「3時間だけ付き合ってくれたら、解放してあげるから」
― なんで、3時間なの?
結局携帯は返してもらえず、エリックさんのポケットの中へ。道行く人達は、エリックさんと、まるでボディーガードのように屈強に見える体の大きな2人に囲まれている私と目が合うことを避けるかのように、遠巻きに通り過ぎていくばかりだった。
「そんなに怖がらないでよ。今日ずっと大輝にも連絡してるんだけど、返信なくて。でも宝ちゃんいてくれたらアイツ絶対くると思うから、ちょっと協力して欲しいんだよね。はい、宝ちゃんこっち向いて~」
向けられた携帯を反射的に見てしまって、写真を撮られた。大輝に送るねーというエリックさんの声が、脳内で変な響き方をして、緊張が増しているのだと気づく。
― エリックさんは大輝くんの幼なじみなんだから。
大丈夫。ひどいことなんてされるはずがない。きっと大丈夫。そう自分に言い聞かせても恐怖は消せず喉が渇いてくる。
言葉も思考も奪われたような状態で、すぐ近くにあった店…例えるならば銀座の高級クラブやラウンジのような雰囲気の店に連れ込まれた。
― なんだろう、このあまったるい香りは…。
かなりのボリュームでかかっているクラシック調の音楽に聴覚を奪われながら、私は手首を掴まれたまま店の奥へ進んだ。突き当りに見えた場所に個室への入り口なのか、大きな扉があり、エリックさん以外の2人が私から離れ、まるで門番かのようにその扉の両脇に立った。
本当にボディーガードとして雇われている人達なのだろうかという疑問が浮かんだ瞬間、扉が開き、中へ入るように促される。真ん中に大きなローテーブルがあり、15人ほどが座れそうなソファーがレイアウトされた部屋。そして、女の子たちがいた。
「エリック、おつー」
「おつかれ、カナ。今日はありがとね」
......
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この記事へのコメント
これは普通に誘拐だし。 多分、大輝が飛んできて宝ちゃんを助けるんだろうけど続きが気になる🥺
なに勝手なこと抜かしてるんだ、エリックは?
宝を無理やり拉致して、スマホまでモノジチにしておいて。
人質じゃないか。
挙句、なにが、黙っていい子にしてろだ?
タダじゃ済まされないだろ!
大輝が成敗してくれますよう!
しかし、毎週ホント楽しみなストーリー✨