アオハルなんて甘すぎる Vol.18

「5cmヒールで、会社からお店まではタクシーに乗って…」気合を入れた初デートで男からの思わぬ告白

前回:「涙の理由は知らないけど、泣くなら美学を持たなきゃダメだよ」西麻布のゴッドマザーに相談すると…



「ここは大人たちが青春をやり直すというか…そういう願いが込められた店なんです。今の若い人的にはアオハルってやつですね。アオハルをやり直す場所」

西麻布のBAR、Sneet(スニート)。できて20年近くになるというこのBARの店長は、いつもとは違う声色…ややセリフがかった言い回しでそう言った。愛さんが、その話久しぶりに聞くなあ、と言いながら私の横に座り、私は愛さんと雄大さんに挟まれる形になった。

「うちの店名…SneetがteenSを逆にして名づけられた理由は2つあるみたいなんです。一つ目は10代に逆行する…というか。大人になったらそりゃいろいろある。でもたまには10代の若者的なピュアさで楽しもうよ、というわかりやすいメッセージなんですけどね。で、もう一つは裏テーマみたいなものなんですけど…」

店長さんはそこで言葉を止めて、お待たせしました、と愛さんの前にカクテルを差し出した。コーヒーの香り。それはホワイト・ルシアンというカクテルで、コーヒーリキュールのカルーアとウォッカ、そして生クリームを合わせたものだという。

うん、この甘さが欲しかったと満足げな愛さんに、宝ちゃんも一口どう?と勧められた。見た目はカフェオレで口当たりはスイーツみたい…と味わった瞬間、喉にアルコールがガツンときた。少しむせてしまった私に店長さんが水のグラスを渡してくれた。

甘くておいしいとか見た目がかわいいカクテルって油断大敵だよ、アルコール度数が強めなものも多いからね、と愛さんに教えられる。それはなんだかお酒のことだけではない気がして、今日はなにかと教訓の多い日だと思った。

「ほら、裏テーマの話の続きをしてあげてよ。私その話、好きなんだよね」

愛さんに促された店長さんが、本当はオーナーの口から聞いてもらった方がド迫力で良いんですけど…と言いながら、ごほん、と咳払いをしたあと、グッと私の方に身を乗り出した。

「宝さん。これは西麻布の女帝曰く…つまりうちのオーナー曰く、なんですけどね」
「はい」
「青春の亡霊は人生を狂わせる。とっとと祓って上書きしな」

......


この記事へのコメント

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No Name
ゴットマザーが言う、お店の裏テーマ “青春の亡霊 云々... ” これは刺さる。 実際には今人生を楽しんでいてもそうでなくても「青春の亡霊」を成仏させられずにいる人の方が多いとも思うし。
で、伊東さんと ♥️♥️♥️ いいじゃない! 約束って何だろう? 早く続きを読みたい。
2024/06/01 05:5363
No Name
宝ちゃんは自覚なしの人タラシ
アムールの伊東さん、日本人男性にはない押しの強さで普通の?女子なら陥落しそうだけど、やはり大輝が絡んでくる展開になりますよね
現実感ないストーリーだけど、心地よく読めるのはライターさんのレベルの高さですね
2024/06/01 09:1930返信1件
No Name
亡霊。。。まさに亡霊です。。青春の亡霊、身に覚えがありすぎて胸にぶっ刺さりました(´;ω;`)ウゥゥ
2024/06/01 06:3728
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