2024.06.01
大河ドラマ『光る君へ』の直秀役で注目を集めた、俳優の毎熊克哉さん。
彼が画面から消えるや、物語の序盤にも関わらず多くの人を“ロス”へと陥れた。
クールな彼が「売れても守り抜きたい」と語る、役者としての信念とは?
明日6/2(日)は、雑誌「東京カレンダー」には載っていないWEBオリジナル記事「大河ドラマで存在感を増した俳優・毎熊克哉が愛する、気取らない酒場のメニューとは?」を掲載予定。
そちらもぜひお楽しみに!
俳優・毎熊克哉の“作り手”としての心構えに迫る
大人の男ならではの色気に加え、どこか陰のある役どころがピタリとハマる毎熊克哉さん。
映画『万引き家族』、朝ドラ『まんぷく』、そして大河ドラマ『どうする家康』に続き『光る君へ』、さらには『サンクチュアリ -聖域-』、『セクシー田中さん』まで。出演作をざっと挙げれば、“あ、あの時の!”と思い当たる人も多いだろう。
いずれも主役ではないのに、なぜかいつも目が留まってしまう人。毎熊さんにはそんな印象があるが、「顔を覚えてもらえるようになったのは、ごく最近のこと。名前までは、まだまだです」と謙遜する。
2016年に主演を務めた映画『ケンとカズ』で各映画賞を総なめにするも、その時点では“ウィキペディアにもタレント名鑑にも載っていない男”だったというのは有名なエピソードだ。
「バイトはその直前までしていましたが、辞めてすぐは本当にお金がなかった(苦笑)。
でも役者として売れたいという気持ちよりも、映画を作りたい!という思いが常に先行していたので、売れたら旨いものを食べるとか、スポーツカーに乗るとか、モテたいとか、そういうことは全然考えたことがなくて。それはいまも変わらないんです」
艶っぽい話を聞き出そうと、あの手この手で質問をぶつける我々に、申し訳なさそうな表情でそう答えた。
実際、撮影序盤も「いつも僕が行くような赤のれん系の町中華とはまったく別の世界ですね」と、どこか少しだけ窮屈そうにしていたのが印象的だった。
どう考えても“売れた”であろうに、どこまでも腰が低い人である。
現在放送中で主演を務めているドラマ『好きなオトコと別れたい』で演じているヘラヘラしたヒモ男の風情とて1ミリもない(当たり前なのだが)。
もう少し調子に乗ってもいいのでは?そんな言葉を向けると……。
「自分だけの力でいまがあるわけじゃないので。それに、どんな作品もひとりで作れるわけじゃないですから、俳優だけの力なんてことは絶対にありません。
クランクアップしたらそれで“ハイ、終わり”ではなくて、僕は届けるまでが仕事だと思っていますし、作る側にいる人間なら、それは当たり前のことだと思っています」
“映画の筋肉”を動かすのがいまから楽しみ
聞けば、この撮影当日も映画の売り込みに大阪まで出向いた帰りだという。
「20代に一緒に映画作りをしていた仲間たちと作った『東京ランドマーク』という作品が公開になったんですが、自主配給で展開していくことになりまして。なので、直接訪ねて上映をお願いしてきました。
先輩の俳優さんと一緒に行ったんですけど、やっぱりこれが基本だよな、って改めて思いましたね。だから、仮に僕が大スターになったとしても、自分の足で作品を届けに行くっていうことは続けたいです」
そう言って、自身のバッグからチラシを取り出し「よかったら観てください」と直接、手渡してくれた。
映画を作りたい、観てほしい!というピュアな思いがダイレクトに伝わってくる。
「今年は久しぶりにまた初心に立ち返って、映画の現場を中心に活動する予定です。
ドラマと映画は“筋肉が違う”という感じなので、しばらくぶりに“映画の筋肉”を動かすのがいまから楽しみですね」
映画に話が及ぶと毎熊さんの表情が一変、目がキラキラと輝きだした。どんなに周りが持ち上げようとも、環境が変化しようとも、きっと彼はずっとこのままなのだろう。
見た目はクールでセクシー、でも中身はピュアな少年。誰からもモテる男とはつまり、こういう人だ。
これからもさまざまな作品で“ロス”を引き起こしてくれるに違いない。
※明日6/2(日)は、雑誌「東京カレンダー」には載っていないWEBオリジナル記事「大河ドラマで存在感を増した俳優・毎熊克哉が愛する、気取らない酒場のメニューとは?」を掲載します。
そちらもぜひお楽しみに!
■プロフィール
毎熊克哉 1987年生まれ。広島県出身。高校卒業後、映画監督を志して上京。専門学校で映画制作を学びながら作品作りに携わる中で、俳優に転身。2016年公開の主演映画『ケンとカズ』で脚光を浴び、以降、話題作に続々出演。製作側として携わった映画『東京ランドマーク』が新宿K’s cinemaにて公開中。
▶このほか:「僕にとっては居心地がいいんです」22歳の俳優・板垣李光人が思う“隠れ家”とは?
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