アオハルなんて甘すぎる Vol.9

「港区に住むなら、絶対知っておくべきコトは…」27歳女が触れてしまった、西麻布の闇

「私の…パーティですか?」

何で愛さんが私の誕生日を知ってるんだろう?私言ったっけ?とか考えていると、大輝くんが、え、あと2週間くらいじゃん、と言った。

「12月3日、日曜日だから丁度いいね、オレは空いてるよ。雄大さんは?」
「12月3日は仕事だから無理。大阪出張だし」

携帯を見ながら答えた雄大さんに、愛さんが、ほんっとノリ悪い!感じも悪い!!と吠え、夜には絶対東京に戻ってきて!まだ2週間あるんだし雄大なら調整できるでしょ!と詰め寄った。

はぁと溜息をついた雄大さんの返事を待たずに、計画は私と大輝で立てようね、雄大こういうの全くセンスないし頼りにならないから、と随分ひどいことを言って続けた。

「あ。もしかして、誕生日当日ってもう予定入ってる?」
「いえ、予定は全く…」

ないけれど、出会ってからずっと、いろんなことをしてもらってばかりだし…と恐縮した私に愛さんが、何言ってんの、誕生日はまた別物、特別な日なんだからと笑った。

「大丈夫、愛さんの誕生日もめちゃくちゃ派手にやらされるから、安心して」


そうだよ、毎年私の欲望を全部叶えてもらってるの!と胸を張った愛さんの誕生日は3月らしい。大輝くんは9月。雄大さんは?と私がその顔を覗き込むと、雄大さんはラムのグラスを回す手を止めないまま、さもどうでもいい様子で、8月、とつぶやいた。

それぞれの誕生日を忘れないようにと私が携帯に登録していると、3人分のジントニックができあがってきた。じゃあ!もうすぐ誕生日の宝ちゃんにカンパーイ!と声もグラスも上げた愛さんに、相変わらず雑な乾杯だなと雄大さんが淡々と突っ込む。

そういえば、この2人は「昔付き合ってたけど今は友情」なんだった…とパリでの雄大さんの言葉を思い出していると、愛さんが、で?と私と大輝くんを見た。

「なんで2人は今日一緒だったの?」
「オレが宝ちゃんをデートに誘ったんだけど途中で、メイが西麻布にいるっていう情報がきたから、宝ちゃんもオレと2人きりよりそっちが嬉しいかと思って。プラン変更した」

メイってあの野球選手の?と聞いた愛さんに、そう、と答えた大輝くんは、メイに会った後ラーメン食べに行って、その帰り道に2人を見つけたんだよね、とニコッと私を見た。祥吾との修羅場を話さないのは、気を使ってくれてるのかな?と私はこっそり感謝する。

メイくんに会ったのいいなぁ、あどけない顔にマッチョな体って最高だよね、とうっとりした愛さんに、そうなんです!と心で叫びつつ静かに頷いた…つもりが、隠せていなかったらしい。愛さんが、宝ちゃん大興奮できてよかったね、と笑っている。

「メイくんと会ったってことは…Porte(ポルト)で?」

雄大さんの質問に大輝くんが、そう、と頷く。

「あそこ、今相当ヤバいらしいけど、大丈夫だったか?」
「…別にいつも通りというか。大丈夫だったけど。なんで?」
「経営者変わったんだよ。気をつけないと巻き込まれるぞ」

この記事へのコメント

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No Name
知名度ゼロの駆け出しタレントが働いてるバーに、あどけない顔したマッチョイケメンのプロ野球選手が出入りする事も、ある意味危ない😂
2024/03/30 06:0420
No Name
いやー、本当に面白い。
2024/03/30 06:0019返信1件
No Name
会員制クラブの闇か。雄大さんは、大輝と宝を心配してくれているのかな。

一番心配なのは、愛さんの元夫に拉致された愛さんと宝。大輝に助けられるかな。雄大さんの助けも必要そう。宝には忘れられない誕生日になりそうだね。
2024/03/30 05:5510
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