2024.02.14
私の名品テラピー Vol.19名品には数々の効力がある。
身に着けることで日々のモチベーションアップにつながったり、自分に自信をくれたり――。
まさに、大人たちのお守り的存在だ。
本連載では人々から愛され、流行に左右されることない一生モノの“ファッション名品”にフォーカス。
今回登場するのは、秘書として働く尾崎ありささん。彼女が紹介してくれるアイテムとは?
▶前回:「ジャケットは黒一択」と主張する、お洒落男子23歳。いま注目すべき、人と被らないブランドは…
1994年生まれ、東京都出身の29歳。上智大学法学部を卒業後、商社勤務を経て、現在は大手金融機関で役員秘書として働く。
よく行くエリアは銀座、丸の内で、趣味は旅行とカフェ巡り。3歳から芸能活動を始め「ミス・ワールド・ジャパン2021」ファイナリストに輝いた実績を持つ。
惜しくも廃盤となった、カルティエウォッチの名品
「繊細なデザインのものを持つと、私自身の所作や振る舞いが綺麗になる。何を選ぶかで、自分の行動も変わる気がするんです」と、穏やかな口調でファッションの魅力を語ってくれた尾崎さん。
そんな彼女が紹介してくれるのは、1996年の発売以降、絶大な人気を誇ったカルティエの時計「タンク フランセーズ」。中でも文字盤がピンクシェルの本モデルは、多くの日本人女性を虜にしてきた。
一方で、2016年に生産終了。現在ではヴィンテージ品としても価値の高いアイテムだ。
「社会人になった記念に、ずっと使える素敵な時計が欲しくて。年を重ねても愛せそうなタンクのデザインにしました。文字盤のピンクシェルが柔らかい印象を与えてくれるところが気に入っています」
文字盤はピンク色といえども、遠くから見ると色の主張は決して強くない。しかし、間近で見るとその印象は変わる。シェルならではの独特な揺らぎがあり、何色にも輝いているようなのだ。
「自然光かライトかによっても、シェルの色は絶妙に変わります。自然光だと白っぽく見えて、少し暗いところに入るとピンク色が強く出ますね」
凛とした女性らしい雰囲気を持つ彼女に、とてもマッチしていた。
ヴァン クリーフ&アーペル“マザーオブパール”の魅力
次に彼女が紹介してくれるのは、四つ葉のクローバーに着想を得た幸運のシンボル、ヴァン クリーフ&アーペルの「ヴィンテージ アルハンブラ ペンダント」だ。
そして取材の日は、同ブランドの「スウィート アルハンブラ ブレスレット」とセット使いをしている姿をキャッチした。
ストーンカラーは前者がグレー マザーオブパールで、後者がマザーオブパール。天然のため同じものはひとつとして存在しないが、ここにも彼女の色へのこだわりがあった。
「黒い石のオニキスも人気がありますが、写真に写ったときに真っ黒に見えるのが、少し自分のイメージと違って。それに比べてこのグレーは、なんとも不思議な色で神秘的に見えてすごく気に入ったんです。
自分好みの石を選ぶと愛着が湧きますね。店舗で在庫がある場合、何種類か見比べて選ばせていただけるのでおすすめです」
ブレスレットは、カルティエの1粒ダイヤタイプのものと迷いに迷ったそうだ。
「カルティエのダイヤも確かに素敵でした。けれどアルハンブラの華やかな感じが、やっぱり魅力的だった。実際に身に着けたときにも、美しい存在感があるのがアルハンブラでした」
ブレスレットの「スウィート アルハンブラ」は、ネックレスの「ヴィンデージ アルハンブラ」よりモチーフが一回り小ぶりなシリーズ。彼女の華奢な手首には、スウィートのサイズ感がぴったりだったとか。
一生モノは“巡り合った瞬間”が買い時!
これを読んでいる読者の中には、カルティエやヴァン クリーフ&アーペルなどの名品を前にして「いつか自分も……」と考える人も多いだろう。一方で、頭を悩ませるのが「いつ何のタイミングで購入するか」という点。さらに昨今気になるのが、度重なる価格改定だ。
連日のように値上げのニュースが舞い込み、購入の時機を失している読者もいるのではないだろうか。
実は尾崎さんもその渦中にいたそうだが――。運命の瞬間は突然やってくるという。
「ヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーも、シャネルのバッグも、ずっと欲しいなと思っていたもののなかなか購入のきっかけがなくて。お店に伺った際にちょうどよく出合えたのでお迎えするに至りました」と語る。
同時に、買い物は巡り合わせである、と主張する尾崎さん。
「例えば…のお話ですが、1年間お金をためている間に、それ以上に物が値上がりすることもありますし、カルティエの時計みたいに廃盤になってしまうこともある。今の時代、1,000円や2,000円でかわいいジュエリーも買えますが、安いものをたくさん買うのではなく、多少高価でも好きなものに出合えたら購入するようにしています」
そんな彼女がおすすめですと紹介してくれたのが、地曳いく子著『服を買うなら、捨てなさい』(宝島社)という書籍。彼女自身、買い物の基準や、何にお金をかけるかを考え直すきっかけになったのだとか。
「友人が推薦してくれたのですが、書籍には、『素敵な買い物は素敵な人生をつくる』と記されていました。“着れるから着る”ではなくて、少ないアイテムでも“本当に好きだと思えるものを着る”人生がいいなと痛感して。これからも長く愛用できるものを少しずつそろえて、大切にしていきたいです」
◆
20代前半からハイブランドを選び、上質なアイテムに身を包む彼女から伝わってくるのは、エレガントさと美しさ。そして大人の女性ならではの、決して嫌味のない余裕も感じられる。
彼女が大人になってから挑戦したコンテスト、ミス・ワールド・ジャパンのコンセプトは「Beauty with a purpose(目的のある美)」。
人生のうちで、何を経験して、何に投資をすべきか?
名品というものの本来の価値を、彼女から学んだ気がした。
▶Next:2月28日 水曜更新予定
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写真/品田健人
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