じつは意外と難物なワインとチョコのペア
柳:物語の最後、教会を中心にカメラがどんどん引いていって村全体が見えてくるじゃないですか。すると集落の周りがブドウ畑なんですよ。それで撮影地はどこかと調べたら……。
嵩倉:どこでした?
柳:フラヴィニー・シュール・オズランという人口300人程度の小さな村なんだけど、なんと、ブルゴーニュ地方の一部だった。
嵩倉:ほぉ!すると、今回はブルゴーニュ・ワイン?
柳:ダメダメ。
嵩倉:なんで?
柳:今回は新谷さんから、チョコレートに合わせるというミッションをいただいてるから。ところが、昔からチョコレートはワインの敵とされているんだ。
新谷・嵩倉:えーっ!
柳:チョコレートにはポルトガルのトウニー・ポートとか南仏ルーション地方のバニュルスとか、甘口の酒精強化ワインが定番だけど、2時間の上映中、ずっと甘口のポートを飲み続けるのはつらい。
嵩倉:ブルゴーニュがダメな理由はなんですか?
柳:やっぱり酸だね。ブルゴーニュで栽培されるピノ・ノワールという品種は酸味が強いので、チョコレートの甘味とバッティングしてしまう。ただ……。
嵩倉:ただ?
柳:カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンならいけるかも。ブルゴーニュほど酸は高くないし、タンニンも果実味の中に溶け込んでる。
しかもテイスティングコメントにしばしば「カカオ」と書き込むくらい、香ばしいフレーヴァーのものが多いからね。
新谷:例えば?
柳:このクインテッサ。ナパ・ヴァレーのプレミアム・カベルネのひとつで、数パーセント含まれるカルメネールがスパイシー。
ちょっと値は張るけど、「チョコレートは私が用意するから、ワインはこれをお願い」って男性にリクエストすればオーケー。
「QUINTESSA QUINTESSA 2019(クインテッサ クインテッサ 2019)」
マリアージュをお届けするのはこの3人!
幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト。今月のワインセレクトにはかなり苦戦!疲れたのでチョコ食べよう……。
デパ地下でたんまりチョコレートを買い込み、ワイン&チョコ&映画という至福の冬時間を満喫中。昨年からシナリオ講座に通学、いつかワインの話も書きたい。
本連載の担当になって7年目に。ワインの知識は着実に積みあがっていると信じ、柳氏にしがみつく日々。ジョニー・デップは、出演作を全網羅するほどに大好きな俳優。
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