
人生100年時代。どうせ長生きするなら、思いっきり楽しみたい人が今からできるコトとは
しかし、それでは金銭問題はある程度解決するかもしれないが、家族や友だちとの付き合い、健康の維持管理などといった金銭面以外の蓄えはおろそかになる。それに足腰がたたなくなる老人になるまで長い間働き続けるのは、あまりにも過酷だ。
そこで、若い世代には、「教育→仕事→引退生活」という3ステージの人生の代わりに、マルチ(複数の)ステージ人生を勧める。
たとえば、金銭面を重視して脇目もふらず働くステージ、仕事と家庭生活のバランスを取るステージ、仕事をしながらも社会貢献や趣味人生に軸足をおいたステージ…などがあっていい。
マルチステージの人生が普通になれば、私たちは、ステージ間の移行が多くなる。
ただ問題は、私たちの多くが生涯で何度も移行を成功させるためのノウハウやスキルをもっていないことだ。
しかし、上手にステージ間の移行を重ねることができれば、発想が柔軟になり、知識が増え、新しい視点で世界を見ることができるようになる。
こうした「変身」のためのスキルをもつには、従来の考え方を大きく転換し、発想を豊かにし、未来にどのような生活が待ち構えているのかを的確に描けるようになる必要がある。
そのためには、高校生の段階から長い時間かけてじっくりと準備するに越したことはない。新しいスキルを身につけるための勉強、自分のアイデンティティ(自分らしさ)を新しい環境に適応させるための準備だ。
寿命が延びた分、増えた時間は余暇だけではなく、将来への勉強や啓発に使うべきである。
これからの世代は、進学や就職、転職、キャリア形成、結婚、子育て、住宅や自動車の購入などを決め急ぐ必要はない。
これから世の中がどのように変わるのか、自分はこの人生で何をしたいのか、自分の模範となる憧れの人は誰か、自分の持ち味はなんなのか…。時間をかけてじっくり考えることを勧めたい。
2. AI時代の働き方
多くの人が長生きするようになれば、老後の生活資金をまかなうために、長く働かなくてはならなくなる。そこで私たちは、お金に困らないために職業や就職先を正しく選択する必要がある。
将来どの仕事が大きく成長し、どの仕事が縮小していくのかを理解していかなくてはならない。
それを考えるヒントの1つが、人口構成の変化だ。高齢者の増加によって、サービス産業では医療と高齢者向けサービスの比重が大きくなる。
また、環境問題も様々な産業に大きな影響を及ぼす。
エネルギー不足によってエネルギー価格の上昇が続けば、エネルギー生産と資源保存の分野で目覚ましい技術革新が起きる。
1998年生まれの翔太と葵の世代は、何度も仕事や職場を変える必要があるだろう。
企業のあり方も変わる。大企業が消えてなくなることはないが、大企業の周囲に多くの中小企業や新興企業が集まる形態が増えるだろう。成長は、しばしば少数精鋭の人材を擁する小規模企業群から生まれる。
100年以上生きる翔太と葵の人生では、組織に縛られることなく働くことができるようになるだろう。
個人的に大好きな仕事につき、同じ趣味や志をもった小規模なチームで柔軟に働けるようになる。
また、技術が進歩しても消滅しない職に就きたいなら、次の2つの中から職を探すべきだ。
1つは人間が「絶対優位」をもっている仕事、もう1つは人間が「比較優位」をもっている仕事だ。
ようは、人間がロボットや人工知能よりも優れた能力を発揮できる職業を選ぶことが重要となる。創造性、共感、問題解決など多くの身体的作業に関しては、いまのところ人間が明らかに絶対優位をもっている。
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