2023.11.13
30.5歳~女たちの分岐点~ Vol.6「30.5歳」、それは女性がキャリアチェンジする平均年齢だ(引用元:doda転職成功者の平均年齢調査)。
それまでをどう生きるかで、その後の人生が変わると言っても過言ではないだろう。
本連載ではインタビューを通して、今活躍中の女性たちが「30.5」歳のときに何をしていたのか。また、そこに至るまでのキャリアを振り返り、何を考え、どう行動してきたのかを掘り下げていく。
今回は、スタイリストとして活躍する小山田早織さんが登場。
彼女は立教大学文学部を卒業後、「カリスマスタイリストになる」という夢を胸に、一般企業には就職しない道を選んだ。
そして順調に20代でその夢をかなえたものの「30.5歳」で大きな挫折を味わう。そもそもなぜ夢をかなえられたのか、どうやって挫折を乗り越えたのか。
小山田早織さんの「30.5歳」に迫る。
取材・文/辻本幸路
▶前回:「私は組織には向かない」29歳で昇進するも退社を決意。ウエディングプランナー黒沢祐子の生きる道
1987年生まれ、埼玉県所沢市出身の36歳。19歳から女性ファッション誌のアシスタントを務め、2011年にスタイリストとして独立。数々の人気ファッション誌や広告、ショーのスタイリングを手がける。
ベーシックながらもトレンド感漂う大人なコーデが代名詞。日本テレビ系列『ヒルナンデス!』出演で人気を博し、花王「エマール」のCM出演も話題に。
『身の丈に合った服で美人になる』『もう通勤服に悩まない』『稼働率100%クローゼットの作り方』(すべて講談社)を出版。プライベートでは2018年に結婚、2児の母。
―― スタイリストとして活躍されている小山田さんですが、「30.5歳」の頃の思い出深いエピソードはありますか?
ちょうどキャリアとプライベートの両立で悩んでいたタイミングですね。
当時のマスコミ業界の特徴でもありますが、シングルでバリバリ働く先輩方が周りに多くて。私は大学生の頃からこの環境にいるので、そんな先輩方の姿を見てかっこいいなと思っていました。
でも、あるときベテランの先輩に「30歳を超えると考えすぎて結婚に踏み込めなくなるから、さおちゃんは20代で結婚しちゃうのがおすすめだよ」と言われたことがあったんです。
そのときは笑ってかわしたものの、これからの人生を考えるいい機会になりました。
―― それから、どんなことを考えていたんですか?
早めに結婚して、出産もできたらして、そこからキャリアを築くのか。
もしくは、40歳くらいまで仕事をガンガンやって、いつかご縁があったら結婚するのか。
自分の中でのこの2択のうち、いつかは子どもを産んでお母さんになりたいという考えもあったので、産めるかはわからないけれど前者だなと。
それで「30歳くらいで結婚したいな」と思うようになりました。それが26〜27歳の時でした。
―― そしてそのとおり、30歳で結婚、31歳で第1子を出産されています。一方で、TVや雑誌でも引っ張りだこの時でしたよね。
はい、まさに仕事が軌道に乗っていたタイミングだったので、1人目を産んだ時は、目指したい姿と現実とで乖離がありました。
というのも、初めての育児が思った以上に大変で…。
―― どのように大変だったのですか?
出産の2日前までポップアップショップで接客をするなど、直前まで働いていました。そして産後3週間で仕事復帰してみたものの、極度の睡眠不足で外に出るのがやっとという感じで。
子どものことは可愛いが大前提なんですけど、外との関わりがめっきり減ったからか、私はもう二度と社会に復帰できないのでは?というくらい、隔離された感覚に陥りました。
例えば…、夜になるのが怖くて夕方になると涙が止まらない。そして、私はもう社会に必要ないんじゃないかっていう気持ちも膨らむ。でもInstagramを開けばこれまで築いたキャリアの軌跡があって、フォロワーさんもいて。SNSとの付き合い方もだんだんわからなくなっていきました。
スタイリストという仕事も引退しよう、Instagramもやめてしまおう。全てをゼロにしようと思い詰めていたのがちょうど31歳の頃ですね。まさに産後うつの状態でした。
―― そこから、どのように乗り越えていったのでしょうか?
当時、事務所兼溢れた衣装用に借りていたマンションを畳もうと全部片付けたんです。洋服は段ボール100箱分くらいはありました。
ただそれを片付け終わったら、自分が本当に大事にしたいものが見えてきた。気づいたことは、これからは「自分が本当にわくわくできること」に時間を使っていこう、ということ。
私はやっぱり服が好き。そして、子どもが大切。
大好きな子どもとの時間を手放してまでやるくらいなら、なんとなく受ける仕事はやめる。本当に充実した時間を過ごせる仕事だけをしていこうと、この時に決意したんです。
―― その後、33歳で第2子を出産されました。この頃は、キャリアについてどう考えていましたか?
子どもには兄弟を作ってあげたかったので、私は計画的だったんですが、周りからは一斉に「仕事どうするの!?」と言われましたね。
収入は絶頂期に比べたらかなり減りましたが、気持ちが整理できた後だったから「健康な体さえあればありがたい」くらいに思って、全然気になりませんでした。
今は子どもを園に8時に預けてからお迎えの17時まで、その間にできる仕事を集中してやっています。このスタイルが、今の私には合っていると気づきました。
もちろん子どものことなので、急に熱が出て園から呼び出されることも当然ありえます。私もそれは懸念事項なんですけど、地震と一緒で、まだ起こっていない不確定なことに不安を抱くより、起きたら起きたでなんとかなると思って楽観的にいかないと何も行動できないと思っていて。
何より、子どもが社会人になったとき、社会の先輩としても話をしたい。そのために仕事を続けていたいんです。
◆
30.5歳の時の結婚と出産を経て、「仕事を少しセーブして家庭を大事にする」という決断を下した小山田さん。
この決断ができたのは、20代で猛烈に努力し、築き上げた実績があったからこそ。
一方で、取材を続けると、彼女は30.5歳までにいくつもの試練を乗り越えていた。
その試練とは一体?そして悔しさをもはね除けてキャリアで成功した秘訣とは、何なのだろうか?
読むことができます
【30.5歳~女たちの分岐点~】の記事一覧
2024.01.30
Vol.11
「20代は会社をうまく活用すべき」サイバーエージェント退社後、29歳でパリ短期移住を叶えた秘訣
2024.01.18
Vol.10
テレ朝アナ当時の前田有紀は「自分が空っぽに思えた」。5年悩み続け退社、起業家への“可憐”なる転身
2023.12.25
Vol.9
医師・大学院生・母、3足のわらじを履く32歳女性。「子どもが欲しい」から導き出したキャリア形成論
2023.12.11
Vol.8
「社員も投資家も家族も不安にさせない」元GS・谷内侑希子の“強みを生かした”異業種転職キャリア論
2023.12.06
Vol.7
「サイバーエージェント退職は怖かったけど…」玉田理沙があえて“3年先の人生設計をしない”理由
2023.10.16
Vol.4
「総合商社でエリート街道を歩むつもりが…」堀口ミイナが気づいた“大企業での安定”よりも大切なもの
2023.10.02
Vol.3
「人生のゴールは1つじゃない」31歳で弁護士事務所を解雇…山口真由が語る、挫折からの這い上がり方
2023.08.23
Vol.1
「仕事を続ける自信がなくて…」女子アナ時代、笹川友里の背中を押した“夫との壁打ち会議”とは
おすすめ記事
2023.10.30
30.5歳~女たちの分岐点~ Vol.5
「私は組織には向かない」29歳で昇進するも退社を決意。ウエディングプランナー黒沢祐子の生きる道
- PR
2024.11.20
銀座で女性と過ごす夜。アイリッシュウイスキーが引き寄せた、2人だけの密やかな高揚とは
2024.01.17
私の名品テラピー
「学会や女医会はバーキン祭りです。でも…」29歳美人医師があえてピコタンを選んだワケとは?
2022.04.02
現代の“教育・お受験”リアルドキュメント
“超富裕層”だけが通うことのできる、ボーディングスクールの実態
- PR
2024.11.18
総勢100名に当たる!西友&東急ストアで「スプリングバレー」を買って東カレ厳選グルメをもらおう!
2023.01.06
【未公開カットあり】乃木坂46・秋元真夏がご褒美ディナーで語る理想のリーダー像
2023.08.25
ハイスペヒストリー
学生時代から2社起業して年収2,700万。“生粋の成城ファミリー”出身の男性が受けてきた教育とは?
2022.05.15
華麗なる転職~年収1,000万超の道~
【転職・虎の巻】年収アップの転職を成功に導く9つのポイント
2023.12.26
ハイスペヒストリー
「新卒で考えていたのはシャープで社長になることでした」と語る、35歳経営者のルーツ
2023.04.12
【4/12(水)の運勢をチェック!】損得だけで行動するのはダメ!
東京カレンダーショッピング
『佐藤養助商店』:門外不出の技による、喉ごし滑らかな"稲庭干饂飩"
『かに物語』:ふっくらと肉厚な一本爪が2本入ったフレンチカレー
『西岡養鰻』:特製タレ付き!脂の乗った高品質な鰻を土佐備長炭で丁寧に焼き上げた蒲焼
『マルヒラ川村水産』:ご飯に載せて贅沢いくら丼!1粒1粒に旨みが凝縮された、とろける食感の北海道函館産天然いくら
『North Farm Stock』:北海道産ミニトマト使用!糖度が高く、コクとうまみがたっぷり詰まったトマトジュース
『ル・ボヌール 芦屋』:フリーズドライフルーツにホワイトチョコがたっぷりと染み込んだ新感覚スイーツ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"