2023.09.27
私の名品テラピー Vol.10名品には数々の効力がある。
身に着けることで日々のモチベーションアップにつながったり、自分に自信をくれたり――。
まさに、大人たちのお守り的存在だ。
本連載では人々から愛され、流行に左右されることない一生モノの“ファッション名品”にフォーカス。
今回登場するのは、広告代理店勤務の加藤知絵理さん。彼女が紹介してくれるアイテムとは?
▶前回:昇進祝いでヴァンクリ、エルメスのバーキンをお迎え。その背景には祖母からの“ある教え”が…
1996年生まれ、東京都出身の26歳。立教大学法学部卒業後、広告代理店に入社。
よく行くエリアは恵比寿、中目黒。趣味はドライブ、ゴルフ。特技はスポーツ全般で、愛車はBMW X2。
22歳でルブタンを購入。その背景には“あの人”の言葉が…
今回、加藤さんが紹介してくれるファッション名品は、クリスチャン ルブタンのハイヒール「Kate」。
ルブタンといえば、国際的な映画祭のレッドカーペットで、名だたるセレブたちが履いていることでも有名。東京カレンダーでも、数々のカバー女優の足元を彩ってきたおなじみのブランド。
大胆に深くカッティングされた甲とポインテッドトゥ、細いヒールがエレガントなラインを引き立て、女性の足を華奢に見せる一足である。
加藤さんとルブタンの出合いは、遡ること4年前、彼女が22歳の時だ。
「社会人になってから、色んな街に足を運ぶことが増えて。ある時、素敵な大人の女性はルブタンを履いているということに気づいたんです。いつか上質な靴が欲しいなと思っていたのもあり、この赤色のソールに憧れるように。社会人1年目の秋頃に購入しました」
憧れを抱いてから手に入れるまでがとてつもないスピード感(約半年!)だが、聞くと彼女ならではの価値観が潜んでいた。
「私の好きな言葉のひとつに、高嶋ちさ子さんの『欲しいものは早く買う。死ぬまでの日割りが安くなるから』というものがあって。この言葉を胸に刻んでいるので、割と早い段階で買ってしまったのかも…」と苦笑い。
聞くと、この年に購入した品がもうひとつあるという。それがルブタンと一緒に持ってきてくれたバッグだ。
社会人1年目と4年目…彼女の成長を見守る2つのバッグ
「社会人1年目の夏に、初めてもらったボーナスでロエベのハンモックバッグを購入しました。
持ち方に小さなこだわりがあって。肩掛けするのではなく、多少使いづらくてもハンドル部分で手持ちするとすっきり見えておすすめです」
対するアレキサンダーワンのバッグは、昨年、衝動買いをしたそうだ。加藤さんが身を置く広告業界は、繁忙期は深夜残業も当たり前で、上下関係もしっかりしているといわれるが…。
「社会人4年目で部署異動したんです。慣れない環境もあり仕事が忙しくてつらくて、自暴自棄になっていた頃。ふと入ったお店でこのキラッキラの輝きに心奪われて、その場で即購入しました」
しかし「多忙だった」と語る社会人4年目は、仕事も楽しくなってくる年代だ。苦しみながらも、とにかく前を向いてがむしゃらに働いた、彼女の努力の証となっている。
では、お気に入りのポイントは何だろうか?
「とにかくギラギラしているので普段使いしにくいかなと思ったのですが、実際はそうでもない。コンパクトな形と、360度どこを見てもクリスタルが輝いているところがお気に入り。
運転するのが趣味なので、休日にドライブするときは、ジーンズなどのカジュアルな服装にこのバッグを合わせることが多いです」
ファッションは自分に自信をくれるもの
多忙のあまり衝動買い、というなんとも人間味のあるエピソードを振り返りながらも、取材中のほとんどは明るく前向きな話題で、竹を割ったようなカラッとした性格の加藤さん。
今回紹介してくれたファッションアイテムについても「自分が好きなものを身に着けていると不思議と、『私はイケている!』というポジティブな感情が生まれるんですよね。ついシャキッと背筋よく歩いてしまいます」と語る。
さらに、お金が理由で購入を迷うことはない、と断言。
「もし買うのを躊躇するようなことがあれば、それは本当に欲しいものではないと思っていて。心から惹かれるものが現れたら、絶対に買うと決めています。
正直、出費も多いですが“自分が好きな物は自分に自信をくれる存在”なので、金額以上の付加価値があるし、実際にQOLを上げてくれる。
例えば、居酒屋ではなく素敵なレストランに行きたいと思うようになるとか、言動が前向きになるとか。欲しいものを手に入れると、自分が選択する未来までもが変わる気がします」
心から好きなものを身に着けると、自分の意思や行動が変わる。そうすると自然と、出会いや経験や視野が広がっていく――。これが、彼女がお洒落に投資する真の理由なのである。
◆
原動力となっているのは、社会人1年目、初めてのボーナスで自分が欲しいものを手に入れた喜び。順調に仕事をこなし、今ではチームを引っ張る存在にもなった。
社会人として着実にステップアップしていく中、自分で稼いだお金で心から欲しいものを手に入れるというライフスタイルはシンプルでいて清らかだ。
まだ26歳、大人の階段を上っている真っ最中。「お金は使っちゃう派」とも言い、投資は惜しまない。そんな彼女がレッドソールを履いて歩む先は、さらに情熱的な未来となるだろう。
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写真/品田健人
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