2023.08.22
ジリジリとした熱帯夜が続く東京は、レストランシーンも熱い。
美しきフレンチに、カジュアルに楽しめるネオ居酒屋、正統派和食など、期待の新店が続々誕生!
ここぞのデートや、友人と贅沢したい夜におすすめ!都内のニューフェイス5軒をご紹介しよう。
見よ、誰もが目を奪われるこのひと皿を。これこそが、今年7月銀座に誕生した『Restaurant DESTINA』のシグネチャーディッシュ、「銀座」である。
この料理を生み出したシェフ・上野宗士さんは、パリでは5ツ星ホテル「オテル・ド・クリヨン」のメインダイニングで修業。
帰国後はフランス料理界の巨匠・アラン・デュカスの信頼を受け、氏が手掛ける『ベージュ アラン デュカス東京』でも活躍した人物だ。
2019年銀座5丁目にオープンした『Le Signe』のシェフとして辣腕を振るった後、このたび場所と店名を改めて華々しいリスタートを切った。
「食材の本質を見極め、それに対して最適な料理をする」という師から継承した信条は不変。
それは「銀座」のために塩分濃度を3.2%に下げて1ヶ月半熟成させるキャヴィアを独自に制作したという逸話に顕著だ。
「銀座」が含まれている「DESITINA GINZA」コース(35,000円)で、上野さんの最新にして最良のクリエイションを、美酒とともに味わう愉悦に浸りたい。
ワインはフランス産が中心。グランヴァンまで取りそろえる。
■店舗概要
店名:Restaurant DESTINA
住所:中央区銀座6-12-12 サクラマークス612 10F
TEL:03-6263-8904
営業時間:18:00~(最終入店 20:00)
定休日:日曜、月曜
席数:カウンター8席、個室1(6席)※前日までに要予約
今年6月、北の大地から鳴り物入りで東京上陸を果たしたフレンチレストランが代々木にある。
その名は『KINO_』。「キノ」+アンダーバー=“キノシタ”と読ませるこの店を開いたのは、オーナーシェフの木下雄介さんだ。
2012年に地元・札幌でレストラン『lien』をオープンし、ミシュランガイドで一ツ星を獲得するなど安定した評価を得ていたが、10周年を機に新たなステップへ進むことを決断。
「多くの名店がしのぎを削る東京で、一度は挑戦してみたい」という夢を形にした。
札幌時代はクラシックフレンチを標榜していたが、こちらでは培ってきた伝統的な技法をベースにしつつも、イノベーティブな要素を取り入れた独創的なスタイルで魅せる。
スペシャリテのイカめしを含むおまかせコース(17,600円)は、アミューズからデセールまで、目にも楽しい全10皿で構成。
ディナーを終えれば、満ち足りると同時に心地良い食後感に包まれる。
誰もが知る郷土料理を、うにのリゾットでアレンジ。この意外性に心躍る
札幌時代から人気の“KINO_”風のイカめしは、堂々たるシグネチャーとして登場。
時季のイカにうにのリゾットを詰め、通常アンチョビを使う「ブール・アンショアソース」にはイカの塩辛を忍ばせて、木下さんならではの味わいに。
うにとイカの濃厚な饗宴は口福!
「アジフライ」には、明石で揚がる「鬼鯵」を贅沢に使用。
らっきょうやスイートチリソースを忍ばせてエスニックのニュアンスを加えたタルタルソースと。
いわば“同郷”出身の「蝦夷鹿のロースト」は、王道のソース・ポワヴラードとともに。
越冬させた「インカのめざめ」のクロケットは実に甘やか。
■店舗概要
店名:KINO_
住所:渋谷区代々木1-37-4 長谷川ビル 1F
TEL:03-6826-9608
営業時間:ランチ 12:00~(L.O.13:00)
ディナー 18:00~(L.O.20:00)
定休日:月曜、隔週火曜
席数:カウンター8席、テーブル10席 ※要予約
エリアごとに違った顔を見せる渋谷の中でも、近頃大人も満足できる個性派の酒場が増加中と評判なのが「渋谷マークシティ」の裏手の一角だ。
今年2月に仲間入りした『タートル』もそのひとつ。
千歳烏山の人気店『我ー喰う』『酒場アカボシ』などを手掛ける久我耕輔さんの最新店であるこちらは、料理も酒も空間も、多彩な選択肢を持つのが魅力。
ネギ油ソースをまとわせた春雨にからすみをたっぷりとあしらい、彩りも美しい「唐墨春雨」(1,200円)は酒が進むこと請け合い。
肉×ピーマンという「青椒肉絲」のセオリーを守りつつ、ラム肉のユッケと生ピーマンを組み合わせて大胆にアップデートした「生青椒肉絲」1,200円。
フードは「ポテトサラダ」「まるい鶏の唐揚げ」といった酒場の定番つまみから「雲白肉(ウンパイロウ)」「黒酢豚」「フカヒレ煮込みそば」など、お酒が進むチャイニーズまで取りそろえ、銀座の日本料理店『銀座 鼓門』店主・浅倉鼓太郎さんがメニューのアドバイスに加わっている。
ドリンクもビール、サワー類、ナチュラルワインとよりどりみどり。特に力を入れている種類豊富な焼酎は、ソーダ割りで楽しむことを提案。
そして、カラフルな店内にはスタンディング、カウンター、テーブルとさまざまな席が。
行くたびに新鮮な気分に浸れるから、通いたくなること確実だ。
■店舗概要
店名:タートル
住所:渋谷区道玄坂1-15-3 プリメーラ道玄坂 1F
TEL:03-6754-3315
営業時間:16:00~(L.O.23:30)
定休日:不定休
席数:カウンター9席、テーブル40席、スタンディング8名相当 ※スタンディングは予約不可
※こちらの店舗は現在、閉店しております。
店が開くのは、毎週月曜日から水曜日までの3日間のみ。銀座の一等地でなんと贅沢な、と思うが、それにはれっきとした理由があった。
店主の白仁田政信さんは、福岡・博多にある日本料理店『西中洲しらに田』を筆頭に、焼き鳥とワインの店、そば店など現在6店舗を営む腕利きの料理人。
そのため、福岡と東京を行き来して切り盛りしているのだ。
独立する前、最後の修業先として勤めたのが同じ銀座にある名店『銀座うち山』。
若き日に、将来自身の店を持つことを夢見て奮闘した街へ、十数年後に凱旋……という大願成就は実に見事。
献立には「焼き胡麻豆腐」を筆頭に、師に学んだ正統派の品々を踏襲すると同時に、博多に拠点を構えているからこそ仕入れが叶う九州の食材をふんだんに取り入れ“しらに田流”に仕上げる。
白仁田さんの出身地、佐賀・唐津産の素材を使った「鮑と雲丹のゼリーがけ」。
鯛の骨で取ったクリアな出汁をゼリーにして涼やかに。
炭火でカリッと焼いた有明産の天然鰻が主役を張る「うざく」。
みずみずしいきゅうりと香り高い金胡麻が華を添える。
鰹と昆布の旨みが豊かに広がる王道の出汁を堪能する椀物。椀種は「甘鯛と冬瓜」。素材の質の良さが光る。
料理は全ておまかせディナーコース(27,500円~)より。ランチコースは16,500円~。
ワインラバーで「ブルゴーニュ一筋」という白仁田さんがそろえるだけに「ピュリニー・モンラッシェ」「ジュヴレ・シャンベルタン」「ヴォーヌ・ロマネ」など、垂涎の銘醸地の名品が。ボトルワインは15,000円~
「可能な限りお客様の目の前で料理を作り始め、できたてを供したい」という白仁田さん。
その心意気が、鮮烈な味わいを生む。
■店舗概要
店名:銀座しらに田
住所:中央区銀座3-7-13 成田屋ビル 3F-B
TEL:080-4806-1938
営業時間:ランチ 11:30~(最終入店 12:00)
ディナー 17:30~(最終入店 20:00)
定休日:木曜~日曜
席数:カウンター9席 ※3日前までに要予約
本格的なフレンチが意外と少ない中目黒エリアに、確かなキャリアを持つシェフが腕を振るう注目のレストランがオープンした。
シェフの津野一平さんは、洋食の名店『日本橋たいめいけん』を皮切りに料理の世界へ入り、その後はフランスでの1年間の修業を経験。
そして、帰国後は『銀座レカン』『ロオジエ』といった錚々たるグランメゾンでも技術を身に着けた。
フレッシュな感性から紡ぎ出される料理に胸が高鳴る
晴れてシェフを務めることになったこちらの店では、岩手県・田村牧場の「吊るし熟成短角牛」をメニューの柱に据えている。
30日以上熟成させることで赤身の柔らかさや濃厚な旨みがより際立った牛肉を、じっくりと味わいを引き出すコンソメ、2時間半以上焼いては休ませ、を繰り返して完成させる塩パイ包み、ステークアッシュ丼など、さまざまな調理法で提供する。
看板料理の「塩パイ包み」は、短角牛の塊をハーブ入りの塩パイ生地で包んで焼き上げた一品。
ジュラ地方のワイン「ヴァン・ジョーヌ」を使ったソースとともに。
「甘海老、キャビア、水茄子」は、素材の持つ甘みと辛みに着目して構成。
「カウンターだからこそ熱いものは熱く、冷たいものは冷たく、匂いや音といったライブ感とともにお出ししたい」と意気盛んな津野さん、期待のホープの誕生だ。
■店舗概要
店名:tsumugi
住所:目黒区上目黒2-12-3 PEARS中目黒 2F
TEL:03-6452-2695
営業時間:17:30~(L.O.20:30)
定休日:月曜、隔週火曜
席数:カウンター9席、個室1(6席)※要予約
今月の『東京カレンダー』は「麻布十番の熱気」特集。新店が続々誕生しているこのエリアは今、かつてないほどアツい夏を迎えている。
ドキドキするような夜も、ワクワクするような夏も、すべてはこの街にある。この高まる盛り上がりに乗り遅れるな!
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※東京カレンダーは毎月21日頃の発売です。今号は8/21(月)から。
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