30.5歳~女たちの分岐点~前編 Vol.1

元TBSアナ笹川友里。ADから女子アナへ異例の抜擢、そして人気絶頂で退社…そのワケとは?

「30.5歳」、それは女性がキャリアチェンジする平均年齢。

このタイミングは、男性と比較すると1.5年も早いのだ(引用元:doda転職成功者の平均年齢調査)。

では、すでに社会的に成功を収めている女性たちはどうだろうか。

本連載ではインタビューを通して、今活躍中の女性たちが「30.5歳」のときに何をしていたのか。また、そこに至るまでのキャリアを振り返り、何を考え、どう行動してきたのかを掘り下げていく。

その記念すべき第1回のゲストは元TBSアナウンサーの笹川友里さんだ。

彼女の体験談から見えてくる「30.5歳」を生き抜くためのヒントとは――。

今回お話を聞いたのは、笹川友里さん


1990年9月5日生まれ。神奈川県出身の32歳。setten Inc. 代表取締役。

8年間TBSテレビに在籍し、制作ADとアナウンサー2つの職種で活躍。『モノを作る楽しさ』と『言葉で伝える重要性』を感じる。その中で“人との接点が生まれる瞬間”に自身の心が揺れ動くことに気づき、setten株式会社を立ち上げる。

現在は、ラジオパーソナリティやモデレーターとして伝える活動をしつつ、モデル、プロダクト開発、女性のためのサウナ「SaunaTherapy」共同経営など、多岐に渡る活動を展開中。


ADから女子アナへの抜擢、今だから明かせる本音


―― 突然ですが、笹川さんにとって「30.5歳」はどんな時期でしたか?


今振り返ると、私にとってはかなり大きな意味を持つ年齢でした。

2021年2月末にTBSのアナウンサーという職を辞して、新しいチャレンジのために一歩を踏み出したのが、ちょうど30歳というタイミングだったんです。

それまでの私は、正直言うと、あまり大きな挑戦をしてきていなくて。学生時代の私は両親にレールを敷いてもらったというか、結構、温室で育ったタイプだなとも思っていて…。

大学も中高一貫の付属校から進学したので、自分で何か決断をして、自分の人生を自分で築いてきたっていう感覚がないんです。

20代のうちで、本当に自分で決断したと言い切れるのは就職先を選んだことと、一人暮らしをするために実家を出たこと。その2つぐらい。

いい意味で「これやってみない?」「あれやってみない?」っていう周囲からの誘いに乗って、流されるようにして“今”があるといった感じでした。


―― 笹川さんのキャリアを振り返ってもらっていいですか?


私のキャリアを語るうえで欠かせないのは、やはり2013年4月、22歳でTBSに総合職で入社してADをやらせてもらったこと。そして翌年4月、23歳でアナウンサー職に部署異動したこと。

20代に経験したこの2つの出来事は、間違いなく私の人生に大きな影響を与えました。

―― AD時代には、先輩アナウンサーのブログで「美人AD」と紹介され、後にバラエティ番組でも取り上げられて一躍話題になりました。


ネットでは「笹川友里がアナウンス部に異動したのは、バラエティ番組で取り上げられて話題になったからだ」なんて書かれてありますけど、それはあまり関係なくて。

もともと私はアナウンサー職でも採用試験を受けていて、最終面接で落ちてしまったんですけど、「その笹川が総合職で入社してきたぞ」っていうことを、人事部や上層部の中で覚えていて下さった方々もいたようで。

新卒の1年間、私のADとしての働きぶりを見て判断してくれたのかなと思います。とても大変でしたが、ADの1年間は毎日学園祭の前日みたいで刺激的で楽しかったです。

―― 恋焦がれた憧れの職に就けるとわかったときには喜んだのでは?


あのときは喜んだというより、自分の耳を疑いましたね。

というのも、キー局のテレビ局の主な採用口ってアナウンサー職か、カメラマンやシステム周りのことをする技術職、それから制作や営業、広報などを担う総合職の3つがあって、採用後、その間での異動は少なくとも私が知る限り前例がなかった。

だから、部長にアナウンス部に異動だと言われても意味がわからなくて「何のドッキリですか?」なんて言った覚えがあります。

そうじゃないと言われても信じられなくて、何日間かは親友はもちろん、親にも異動のことを言えませんでした。


―― では、異動には迷いもあった?


正直、それまでのADとしての日々は充実していて、ゆくゆくはディレクター、さらにその先にはプロデューサーという目標もなかったわけじゃないんですけど…。

とはいえアナウンサー職の話をいただいて、この先、何か面白くなるかも!みたいなワクワク感はあって。

これまでの、良い意味で“流れに身を任せる生き方”にも合っているような気がしたんです。だから、やらせてもらえるのなら「やろう」という思いで挑みました。

あとはもう、無我夢中でしたね。

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