豚肉ラヴァーが溺愛する、変化系豚料理 Vol.2

バルペロタ

バルペロタ

新店の目玉は酔客の胃袋掴むアベル黒豚

左.アベル黒豚のグリル¥1,800

右.スペインバルらしく、シェリーはグラスで20種ほど揃う

出逢いは偶然と言えば、偶然だ。新宿御苑前のスペインバル『バルペロタ』開業に際し、シェフ就任が決まった関谷嘉之氏は、店の目玉となる食材として各種の豚肉を吟味。その中で光る味わいを感じたのが、宮崎県都城市で生産されている、アベル黒豚だった。奄美黒豚をベースに英国バークシャー種を交配し、品質向上を重ねたこの豚は、さらりとした脂身、もちもちとした肉質が魅惑的。さつま芋、とうもろこし、昆布、緑茶等を配合した独自の穀物飼料が、その味の秘訣だ。養豚場を蒸気消毒するなど、育成環境にも十分な配慮がなされている。

「何より、最初にアベル黒豚牧場に電話をした時の、丁寧で情熱ある解説に、これしかないと心が決まったんです」

脂のさし込みがバランス良い肩ロースをじっくり焼いたアベル黒豚のグリルは、塩分、酸味ともに丸みのあるキプロス産のレモン塩とブラックペッパーだけで味わうひと皿。潔い味つけが、肉の旨みを素直に引き出している。アベル黒豚は、ペロタ風アルボンディカスのほか、ランチのハンバーグにも使用。粗挽きにすることで、肉質と脂の持ち味を活かした。

タパスをつまみつつ軽く数杯。そんな従来のスペインバルイメージを上手にずらした。旨い豚肉は、それだけ偉大なのだ。

左.ペロタ風アルボンディカス¥900。アベル黒豚を挽いてよく練り込んだスペイン風ミートボール。わずかに味噌と醤油を加えたところが、同店風だ

右.オープンキッチンある開放的店

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