シンプルで力強い美味しさのパスタは必食!わざわざ足を運びたくなる、名店出身のイタリアン

都立大学の住宅街、不動の人気を誇った中華料理店『わさ』を目指して、食通たちが幾度となくタクシーを降りた場所。

その跡地に入った『笠井』も、同じ現象を起こしている。

タクシーを使ってでもわざわざ足を運びたくなるのは、普通に見えて普通じゃないイタリアンがあるからだ。

中華の名店跡地を居抜きで活用したユニークな一軒

都立大学駅から徒歩12分。『八雲茶寮』と同じ「自由通り」にあり、その100mほど手前。飲食店らしい看板はなく、前を通っただけではなんの店か分からない。この店を目指す者だけが訪れるから、それっぽいファサードは必要ない


目印は通りにさりげなく立つ『笠井』の標識。殺風景な外観の扉を開くとL字型カウンターがあり、厨房には中華鍋。

イタリアンながら、前店の厨房がそのまま生かされ、それはシェフの笠井 篤さんによるあえての判断だ。

程よい奥行きのあるカウンターは、どの席からも中華式厨房の様子がよく見える。外観と同じく派手さはないが、“笠井宅”に招かれたような和やかなムードが漂う。余計なインテリアはなくとも鍋を振るアクションがひとつの装飾となる


中華鍋を超強火にかけてパスタを茹でる笠井さんが言う。

「寸胴鍋で茹でるのと違い、中華鍋ではパスタが自由に動く」とは笠井さん。大阪から上京して『アロマクラシコ』で基礎を学び、渡伊。帰国後は『TACUBO』を経て独立を果たした


「これだとずっと対流しているのでパスタがすごく躍る。自分好みです」

北イタリアと『TACUBO』などで腕を磨き、名店跡地を譲り受けたシェフの狙いは正解だとパスタを食べて知るだろう。

「高知県産釜揚げしらすのアラビアータ」。しらすは麺と絡むことでニュアンスが変化していく


例えば「しらすのアラビアータ」の麺表面のハリや喉ごしの良さは、中華鍋のおかげもあるはず。

その他、生ハムやラムのグリルなど、出てくる料理に目新しさはさほどない。

切りたて生ハムのとろける食感!


「生ハムとブリオッシュ」はコース冒頭に登場。

噛むとミルキーな肉汁を感じる「フランス・リムーザン地方産のラムのグリル」


しかし、生ハムは熱いブリオッシュ生地の上でふわっと繊細な舌触りになっているし、ラムはフライパンひとつで焼いただけなのにやたらとジューシーだ。

ベシャメルとチーズのソース、卵をかけた「イタリア産ホワイトアスパラ」。アスパラの芯は砕いてソースに。料理はすべてコース(13,550円)より


知っている料理の未知なる味わいや香りを引き出す秘訣を聞くと、「ちゃんとやる。タイミングをずらさない」とシンプルな答え。

だがその言葉の裏には、最適解の仕込みや徹底的な“できたて”への追求心があり、だから舌の肥えた男女を住宅街まで呼び寄せる。

そんな集客もまた、奥目黒らしきイタリアンの個性なのだ。

■店舗概要
店名:笠井
住所:目黒区八雲3-6-22 1F
TEL:03-6421-3517
営業時間:17:00~ ※予約制
定休日:水曜、その他不定休
席数:カウンター9席

笠井(都立大学) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

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