東京ご近所探訪 Vol.26

セレブ家族からこの街が選ばれる理由とは?湾岸エリアの進化が止まらない!

街に個性があるのは、その街に住まう人の個性が違うから。

東カレが、住人・レストランなどを調査し、街の今を紡ぎ出す「ご近所探訪」がこの度パワーアップ!

これまで以上に多角的に街を深く掘り下げる。今回は湾岸の大人気エリア、月島・佃に注目。


東京の街の個性を徹底調査する連載「東京ご近所探訪」。過去にご紹介した街も、要チェック!



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今月のエリア【月島・佃】


今回、取り上げるのはタワーマンションの建設ラッシュが続く月島・佃エリア。

下町の情緒を残しながら、より便利に、住みやすくなっているエリアだが、その細部に迫った。

界隈の教育水準も高く、資産価値は高まる一方

月島1丁目から4丁目にかけて延びる「月島西仲通り商店街」は、「もんじゃストリート」の通称で有名に。80を超えるもんじゃ焼きの店が軒を連ね、国内外からの観光客で賑わう。平日夜でも観光客で行列ができるほど


街区は東京メトロ有楽町線と都営地下鉄大江戸線が交差する月島駅を中心に広がる。

北東側が中央区佃1丁目から3丁目、南西側が中央区月島1丁目から4丁目。いずれも江戸末期から明治にかけて埋め立てられた地で、東京湾岸エリアの中で最も都心に近い。

月島駅周辺に3店舗を構える不動産会社『ロイヤルハウジング販売 月島キャピタルゲート店』の渡邉 博所長によれば「中央区では、人口減少を食い止めるために規制が緩和され、タワーマンションが次々に建設されるようになりました。中でも月島は重点的に開発が行われているエリア。銀座や有楽町まで徒歩でも行ける距離ですし、大手町、豊洲、汐留などへの通勤もしやすい好立地。その上、スーパーやホームセンターなども充実していて、非常に暮らしやすいと評判です。再開発のおかげで資産価値も下がらないので、ますます人気が高まっていて、物件は常に不足気味です」

高額物件が多い月島・佃エリアの中でも、別格なのが佃の北端にある「リバーシティ21」だ。

石川島播磨重工業の工場跡地に、2010年に完成したタワーマンション中心の居住区で、東京ウォーターフロント開発の先駆けとも言われている。

隅田川と晴海運河の間にそびえる「リバーシティ21」。夜になると湾岸らしい光景が広がる。中央大橋を渡れば、東京駅八重洲口まで車で10分ほど


「リバーシティ21」内にある区立佃島小学校は高い教育水準と、教育環境の良さに定評あり。月島・佃エリアを選ぶ大きな理由のひとつになっているそう。

「教育熱心な親御さんがよりよい教育環境を求めて引っ越してくるケースも多い」と渡邉さん。

清澄通りの東側にある『パティスリー ハット』は、幅広い年齢層にファンを持つケーキ店だ。

「お客様は“お子さん、お孫さんのためにケーキを買って帰る”という近隣の方がほとんど。最近は外国人も増えていて、インターナショナルな幼稚園もできました。川も海もあって自然に触れられるし、公園も多いので、子育てに適した環境だと思います」と、オーナーパティシエの神戸隼人さんは語る。

『パティスリー ハット』


地元で愛される街のケーキ店として、ケーキや焼き菓子をそろえる。


洋風のカステラに生チョコを挟んだ「月島マダム」「ムッシュ月島」(各282円)は、手土産としても人気。

地元の不動産店に聞いた!街の基本スペック


・賃貸相場(1LDK 40平米目安)
 15万円~17万円

・販売相場
 低層マンション 5,000万円~
 タワマン 7,500万円~

・駅周りの人口
 3万2,000人(中央区で17万4,000人)

◆協力してくれたのは◆
店名:ロイヤルハウジング販売 月島キャピタルゲート店
住所:中央区月島1-5-1
TEL:0120-786-186

多数を占めるのは裕福で堅実な気さくな人々

中央区佃1丁目の東側、隅田川と堀に囲まれた一角は、「佃島」、「本佃」と呼ばれるエリア。関東大震災も戦災も奇跡的に逃れ、江戸時代から続く「住吉神社」や佃煮店など昔ながらの風情が残る


「タワーマンションを中心に高所得者が多いエリアではありますが、皆さん堅実で、地に足が着いた暮らしをしている方ばかりです。社会的地位も経済的な余裕もあるのに、派手に遊び歩いたりしませんし、偉そうにもしない。週末はお子さんと出かけたり、本当に家族を大事にしている人が多い印象です」と佃に暮らす住人は話す。

弁護士や医師、大手の広告代理店やテレビ局、商社、銀行などに勤めるパワーカップルが多いというが、治安が良くて住み心地もいいため、自宅とは別に小さなマンションを購入し、地方から親御さんを呼び寄せるケースも少なくないそう。

月島・佃に暮らす人たちは「本当に良いものには惜しまずにお金を出すが、無駄遣いはしない」とも。

そんな本質を見極める地元民相手とあって、グルメ界隈も目を見張るものがある。

「もんじゃストリート」は観光客向けの表の顔で、その裏はまさに“粒ぞろい”。あんこう鍋の『ほていさん』をはじめ、『焼肉 凛』など焼肉の名店も多い。

裏通りには、気軽に飲めるお洒落な店も点在しており、夜の店選びには事欠かない。

「もんじゃストリート」こと、西仲通り商店街を歩くと、店と店の間に路地が連なる。幅1.8mほどの路地に長屋が密集する様子が分かる


「地元のリピーターは、安さや量ではなく、美味しさや食の安全を求めて来てくださっていると感じます。昼間にお子さん連れで来てくださる方も多いんですよ」と語るのは、ラーメンの名店として、業界にも名が知れ渡る『月島ロック』のスタッフ。

近隣住民の食への関心の高さは、界隈の飲食店の人ほど感じているようだ。

『月島ロック』


醤油ラーメンの名店。

看板はネオンサイン、店内はコの字型のカウンターにお酒のボトルが並ぶお洒落なラーメンバー。

生姜が効いたクリアな醤油スープが特徴の「月島ロック」(1,100円)を、まずはお試しを。


夜はバーとしての利用も可。

「イチローズモルト」(1,400円)などレアなお酒も充実。人気の「よだれ鶏」(500円)と一緒に楽しんで。



1947年の創業以来、地元で愛されている『肉のたかさご』のマネージャー柳原宣彦さんによれば、ひと昔前までは古い長屋が並ぶ下町で、買い物かごを手にサンダル履きで歩くような庶民的な街だったそう。

「今は変わりましたね。タワマンも増え、若いママは、ちょっと買い物や散歩に出るにも、ナチュラルにメイクをして、さりげないアクセサリーを身につけて、とってもお洒落。

総じて時代が変わったなと感じますが、優しい人が多く“人情の街”の雰囲気は残っていると思います。新旧入り混じった魅力のある街になっているのではないでしょうか」

『肉のたかさご』


山形牛と米澤豚を中心とした精肉と、コロッケなど総菜を販売。


名物の「やき豚」は100g 583円のブロックのほかスライスや真空パックも。

スパイシーな「ローストビーフ」(100g 1,911円)はソースなしでも美味。



人気も相場も上昇中の月島・佃に、経済的に裕福な人たちが集まってくるのは必然といえる。

街全体が落ち着いた空気に包まれているのは、この地で暮らす人々のゆとりと潤いが行き渡っているからなのだろう。

月島の晴海寄りでは、現在も50階を超える2棟のタワマンの建設が進められている。

そうした利便性を求める一方、「本佃」、「佃島」と呼ばれるエリアや月島の路地には昔ながらの下町の風情が残り、ノスタルジーと先進が同居したような光景を生み出している。

この新旧を混在させた絶妙なバランス感覚が、人々を惹きつけてやまない理由なのだ。

【月島で話題の人気店】住民が通う立ち飲み酒場で日本酒片手に語り合う幸せ
『つねまつ久蔵商店』


街を知るには、街の人が集うお店を訪れるべし。

日夜、賑わいを見せる月島屈指の人気店をご紹介。まずはここを目指して。

「もんじゃストリート」の玄関口で今宵も月島の酒飲みを満足させる

大谷石が印象的な外観。扉には、島根の伝統工芸の「組子」をあしらっている


外から中を覗くと、常に賑わいを見せている。

ここ、『つねまつ久蔵商店』は、粋で上質な時間を楽しめる立ち飲み酒場だ。

店の中心になっているのは、厚さ26cmの欅の古材のカウンター。ときどきひとりで飲みに来るという20代の女性は「立ち飲みだけど品がよくて、女性ひとりでも安心して飲める店。お酒も料理も、何を頼んでも美味しいんです」と笑顔でグラスを傾けていた


大谷石と古材を使った店内は、モダンで落ち着いた雰囲気。中央の対面式カウンターを囲むように、美酒と美食を求めて客が集う。

日本酒は、店主の地元である島根のものを中心にレギュラー26銘柄、日替わり10銘柄を取りそろえる。

60ml×3種の「飲み比べセット」1,100円~。「島根地酒マイスター」の町田直也さんが日替わりでセレクト


豊洲市場や各地の漁港から仕入れた魚と旬の野菜をつまみながら、キュッと一献。


寄せ豆腐にうに、いくら、卵黄などをのせた「大人のたまご豆腐」1,320円。

手前から「キノコとゴルゴンゾーラのポテサラ 生ハム包み」660円、「真鯖の塩辛」650円、「ふわふわチーズとマッシュルームのカルパッチョ」605円


平日の明るいうちにきて、1~2品の料理と2合の酒で帰る常連がいるかと思えば、週末にはデートでフラリと立ち寄る男女の姿も。

気づけば隣の人と会話を交わす光景も日常茶飯事。まさに、街の社交場的存在ともいえるだろう。

■店舗概要
店名:つねまつ久蔵商店
住所:中央区月島1-6-12
TEL:03-6204-9740
営業時間:【月~金】17:00~24:00
     【土・祝】15:00~24:00
定休日:日曜(月曜が祝日の場合は営業、月曜休み)
席数:立ち飲み20席

つねまつ久蔵商店(月島) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

【佃で話題の人気店】住宅街に潜むカウンター割烹にはクリエイティブなアテがある
『ategatte』


佃エリア自体にレストランは少ないが、その分住民との距離も近い。

近隣住民が美酒と美食を求めて夜な夜な集う一軒がこちら。

一枚板のカウンターは厨房との距離も近い


佃大橋通りを佃方面に行くと、タワマンと住宅街が連なる静かな一帯が現れる。

その一角で、夜な夜な地元民が集うのが『ategatte』だ。訪れる客の9割が月島・佃在住の常連というから驚く。

「美味しい“アテ”をつまみながら日本酒やワインを楽しんでほしいので、ノンアルコールはご用意していません」とオーナーシェフの松本洸和さん。

既視感のない料理の複雑な味わいで気づけばまた杯を重ねている


メニューは日替わりで、シェフの地元・石川県能登半島から直送される魚介類を中心に、ジャンルにとらわれない料理を用意。どれもが既視感なく、想像を超える美味しさだ。

しっかり食事ならコースでおまかせを、ちょっと一杯なら気分で相談を。


取材日のメニューから「軽く〆た真鯵 青のりのソース 子メロンとうるい、新生姜の酢の物」1,320円。酸味が心地良い。


食感がユニークな「白貝のコッシェ ホワイトアスパラ、蚕豆、筍のエチュベ」1,540円。


ねっとり感がたまらない「甘海老と白海老のタルタル 春キャベツのピューレ」2,200円。

〆は気分で変わる絶品パスタで


「ホタルイカとグリーンアスパラのリングイネ」2,420円。

初訪なら、10品の「おまかせコース」(6,000円~)もオススメ。

ワインも日本酒も充実の品ぞろえ


日本酒は12銘柄ほどでなくなり次第、入れ替え。ワインはフランス、イタリア、ナパ、日本など、16銘柄を季節に合わせてそろえる。

日本の酢やワインビネガー、発酵調味料、柑橘類など酸味を意識して使いわけた料理は、日本酒にもワインにも好相性。

日本酒グラス 600円~、グラスワイン 900円~。

オーナーシェフの松本さん(右)も、サービス担当でソムリエの永友雅晴さん(左)も無類の酒好き。「自分たちが美味しいと思うものを、気持ちよく飲んで、食べて、楽しんでほしい」と松本さん


カウンター越しにスタッフと語り合う時間も含め、実に酒飲みにうれしい一軒といえる。

■店舗概要
店名:ategatte
住所:中央区佃2-8-5
TEL:03-3520-8671
営業時間:18:00~(L.O.22:00)
定休日:木曜
席数:カウンター12席

ategatte(月島) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

担当編集・船山が街の気になるお店に突撃!
~月島の外食における層の厚さを体感した夜~


コーナーがパワーアップするにあたり、街の様子をレポートすることになりました。どうぞ、お見知り置きを。

月島・佃。訪れて感じたのは、早くから開いている酒場が多く、酒好きにとって天国だということ。

そんな中、地元民の声を聞いて向かったのが『すっぽんとタイ料理 月島源平』。

お店は「もんじゃストリート」と清澄通りの中間の路地にあり


タイ料理を学んできた保坂賢治さんが、この場所にあった『日本料理 源平』を引き継ぎ、双方を楽しめる唯一無二なお店が誕生したそう。

お試しにと、ラープガイやパッタイを頼みつつ、すっぽん鍋をオーダー。


季節限定の「桜のラープガイ」1,500円(写真はハーフ)は、自信作。

「すっぽん鍋」(4,200円)には「沖縄パインすっぽん」を使用


タイ料理は独創的で、すっぽん料理は基本に忠実。

こんな稀有な店が存在するのも、月島のグルメ偏差値の高さゆえだと納得した夜だった。


「ご近所探訪」を初回から担当。毎号、そのエリアに出向き、店に入り、人と話し、街の空気を自らにインストール。

▶このほか:日向坂46・影山優佳も満面の笑みに…!目黒の隠れ家ビストロで過ごす寛ぎの時間

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