表紙カレンダー Vol.95

「“男性と一緒に”という発想がない」田中みな実が目黒のレストランで語った覚悟

堂々と「俳優です」と名乗れる日まで前進あるのみ


これまではドラマの現場で、どうしても“お客さま”のような接し方をされてしまうことがあり、孤独を感じることもあった。

だが、自身が進むべき方向性を定めてからは景色が変わった。

「初めのうちは作品に向かう準備といえばセリフを覚えるくらいでしたが、与えられた役の人物像を自分なりに肉付けするようになりました。

俳優は役を振られたら、その人生を背負うことになる。つまり、その人物について何を聞かれてもその人物として答える準備をしておく必要があると、少しずつ分かってきたような……。

こんなことを話していたら、“女優気どり”などと、また揶揄されるかな。世間が田中みな実に求めていないことを始めちゃったものだから、容易に受け入れてもらえないのは当然なんです。批判はすべて受け止めます」

目下取り組んでいるのは、放送が始まったばかりの連続ドラマ『あなたがしてくれなくても』。

夫婦のセックスレスに切り込んだ恋愛もので、原作の同名コミックは話題にしづらいネタに直球で切り込んだこともあって、30代〜40代の女性を中心に圧倒的に支持された。

聞けば、田中さんもそのひとり。

ドラマでは仕事に没頭するあまり夫をぞんざいに扱ってしまう新名 楓を演じているが、作品に初めて触れた当時は、平凡で不自由ない生活を送りながらも夫の愛を感じられなくて漠然とした不安を抱える吉野みちに共感した。

そして、自分のことばかり優先させる楓を理解できなかった。

だが、時は流れた。今では「楓が愛おしくて仕方がない」と真剣な眼差しで話す。一体何がそうさせるのだろう?

「私が自立しすぎたせいかしら」

田中さんは苦笑した。社会人になってから30代半ばまで第一線で活躍してきた独身女性のリアルだ。

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