【未公開カットあり】声優・下野紘が声だけでなく、人としてもファンに愛される理由

「後輩たちとは楽しくコミュニケーションをとっていきたい」


最近では、自分と同年代の役柄やテレビ番組でのナレーション、朗読劇といった新たなジャンルへの意欲も旺盛だ。

だが年齢を重ねると同時に、後輩への責任を強く感じることも増えたのだとか。

「事務所の中でも圧倒的に先輩という立ち位置になりつつあるので、ちゃんとしなきゃな、って思います。だけど、圧みたいなものを与える人間にはなりたくなくて。

というのも、元々、僕が声優になったきっかけのアニメの役が、全然怒ったりしないキャラクターだったんですよ。周りに何をされても、ずっと笑っているような。

当時、そのアニメを観ながら、僕自身そういう大人になりたいって思ったのを覚えていて。

それに、僕が出会った大ベテランの方々って、皆さんすごく魅力的だったんですよね。年齢に関係なく、現場で一緒にいる人たちを和ませてくれたり、楽しく笑わせてくれたり。

だから僕も若い子たちには、緊張感を与えるような人間にはなりたくないですね」

先日、オーディションで事務所に入ったばかりという高校生と遭遇した時には、こんなやり取りがあったという。

「“あ、本物だ。いるんだ!”って言われたんです。逆に僕の方がちょっとびっくりしながら“うん、そうだね。いるんだよ”って返しました(笑)。

変に緊張されるよりかわいらしいし、なんか妙に心地良かったんですよね」

若き声優の卵たちが追いかける背中の主は、実に飾らない。

最後に、架空のアニメ『東京カレンダー物語』で色気のある男のキャラクターを演じてくださいと言われたら、どうしますか?と尋ねてみた。すると……。

「素の自分だと、ただの“おしゃべりな男”になってしまいますから(苦笑)。何かしらのヒントを探してどうにか落とし込まないとですね。いや、難しいですけど、やりがいはありそうです」

そう言ってあれこれ思案しながら、声色を変えて「東京カレンダー」と呟く。

そこには、いるはずのない架空のキャラが、下野さんの声によって、一瞬、確かな輪郭を見せた気がした。

【後編】 12/26に公開!
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■プロフィール
下野 紘 1980年生まれ、東京都出身。2001年、声優デビュー。2016年にはデビュー15周年を記念し、歌手としてソロデビュー。『鬼滅の刃』の我妻善逸役、『うたの☆プリンスさまっ♪』の来栖翔役、『進撃の巨人』のコニー・スプリンガー役ほか、人気作品に多数出演。2023年1月からは3年ぶりとなるライブツアーが控えている。

■衣装
ジャケット 55,000円、シャツ 28,600円、パンツ 52,800円〈すべてANEI/JOYEUX TEL:03-4361-4464〉、その他スタイリスト私物


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