2022.11.25
好きな街と仲良くなるためには
人と仲良くなるには一緒にいるのが一番であるように、街と仲良くなるにはそこに住むのが一番いい。
僕は欲張りだから、好きな人のことも、好きな街のことも、なるべく深く理解したい。理解すればするほど、そこにいるのが楽しくなる。
初めて訪問したレストランで常連のような扱いを求めるのが下品であるように、好きな街には敬意としてのコストを払うべきだ。少なくとも僕はそう思っている。
僕にとってその方法が、苦しくとも麻布十番に住み続けることであり、その中で僕なりの楽しい暮らしを見つけ出して、この街にわずかなお金を落とし続けることだった。
予定のない晴れの日曜。午前中は掃除や洗濯をして、お昼は『田舎家』で純豆腐チゲを食べて、コーヒーを飲んだら仕事をして、時間があったら本でも読んで、そうしているうちに日が暮れる。
今日はどこに飲みに行こう?”マツキヨ”の通り沿いの『京まる寿司』にでも行こうか。
まずは刺盛りを適当に見繕ってもらって、生牡蠣があったら出してもらって、あとホタテの磯辺焼きも外せない。季節の野菜があったら焼いてもらおう。握りは飛ばして巻物ばかりを頼んでつまむのもいい。お気に入りは穴きゅう、梅きゅう、それとトロたく。
日本酒をたくさん飲んでいたら大将が気を良くして炙った海苔なんかをサービスで出してくれる。さらに気分が良くなって熱燗なんかも頼む。最後は味噌汁で〆る。
お会計はそれで1万円と少し。現金しか使えないから気をつけないといけない。
今週は打ち合わせと称した飲み会続きだったから、家でのんびりワインを舐めるのも悪くない。
商店街の『ボン・ルパ』にでも行こうか。ヨーロッパに限らず、世界各国のワインがそろっている。お店に入ると顔見知りの店員さんがニヤニヤと近づいてきてくれる。
「今日はどうしましょう?」「家で飲むからお手頃なやつでいいかな〜」。なじみのお店では格好つける必要なんてない。
2,000円台のナパのシャルドネを出してくれる。同じワイナリーのカベルネ・ソーヴィニヨンの出来が非常に良かったと言われたら買わない手はないだろう。4,000円と少し。乗せられた気はするが悪い気はしない。生ハムも切ってもらって、ワインに合わせてチーズも選んでもらう。
会計を済ませて外に出る。シャルドネか。『ナニワヤ』で天草の地鶏でも買って、レモンとバターの少し焦がしたソースで食うか。
結局その日のうちにシャルドネは飲み切ってしまって、カベルネ・ソーヴィニヨンにも手を出してしまった。休肝日に飲む酒が一番旨い。
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