トラップ~嵌められた男と女~ Vol.16

6年交際した彼女との別れを受け入れきれず、コッソリ女を尾行した男。そこで見てしまったモノは…

恋に落ちると、理性や常識を失ってしまう。

盲目状態になると、人はときに信じられない行動に出てしまうものなのだ。

だからあなたもどうか、引っ掛かることのないように…。

恋に狂った彼らのトラップに。

▶前回:クレカの明細を確認したら、夫が月に200万も使い込んでいた。その理由を問い詰めると、まさかの…


朝倉亮太(25)「6年も付き合った彼女に、いきなり別れを告げられて…」


「ねぇ、別れてくれない?」

6年付き合った真由子に突然別れを告げられたのは、彼女が26歳の誕生日を迎える1ヶ月前のことだった。

「え、どうして?」

「…ずっと考えてたの。そろそろ地元に帰ろうかなって。仕事もツラいし」

「仕事がツラいなら、辞めちゃえばいいじゃん」と、つい口にしそうになるのをグッと飲み込む。僕の年収は450万円。彼女を養うには心もとない金額だ。

「それは、俺が頼りないから?…結婚は考えられないかな」

しかし真由子は俯いたまま、こう言ってきた。

「お母さんのそばにいたいの。お父さんが死んでから、ずっと1人ぼっちだし…。長女の私が支えないと」

彼女の目から涙がこぼれ落ちる。僕はただ、その姿を呆然と見つめることしかできなかった。

東京生まれ・東京育ちの僕が、真由子の地元である愛媛へついていくという未来が、想像できなかったのだ。



それから2ヶ月後。真由子は荷物をまとめ、同棲していたマンションを出ていくことになった。

「別れ際まで一緒にいると寂しくなるから、亮太は普通に会社へ行って。私は、昼頃には出ると思う。…いままで、ありがとうね」

僕は目にいっぱいの涙をためたまま、彼女にいつも通り「行ってくる」と言って、駅に向かった。

マンションを出てすぐに、世田谷線の踏切音が聞こえてくる。5年間、真由子と聞き続けてきた音。その瞬間、彼女との思い出が走馬灯のように駆け巡った。

その後なんとか会社まで行ったものの、ずっと上の空。仕事は全く手につかなかった。

― やっぱり、離れたくない。

僕は会社を早退すると、真由子を引き留めるためにタクシーへ飛び乗った。

…彼女と付き合っていた日々を振り返りながら。

この記事へのコメント

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No Name
え、大志から連絡きてから、一度もFaceTimeとかで話さなかったの?
これは自業自得。
2022/06/21 05:2399+返信4件
No Name
真由子は6年も見た目だけで亮太と付き合ってたのかな?
恋心はまだしも情もわかなかったのかな?
中途半端にフラれて終わった高校時代の恋ってそんなに美化して忘れられないもの?
2022/06/21 05:2088返信1件
No Name
すごい一途とも言えるかもしれないけど…なんだろうね。
これ、さすがに大志先輩にはついていけないよね?
2022/06/21 05:2267返信8件
No Name
100kg超えの変わり果てた大志先輩笑った。現実はそんな美しくないよ。真由子、そんな大志先輩愛せる?
2022/06/21 05:2342返信1件
No Name
これは、真由子のツメが甘かったと思う。
仕事も辞めてしまったし、100k超えにはついていかないけれど、愛媛に帰ってお母さんを支えながらお見合いでもしたらいいと思うよね。
2022/06/21 05:2639返信2件
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