不動産選びの答えあわせ Vol.8

富裕層も「中古マンション」を買うの?東京都心の高級中古物件事情に迫る!

担当者が証言!アッパー層のリノベーションの傾向を教えます。


たとえ箱の形はあらかじめ決まっていても、リノベーションにより無限の可能性が生まれる。日本のハイエンドに位置する人たちは、「家」という場にどんな可能性を求めるのだろうか。

お客様とリアルに対面した経験の中で感じた、アッパー層のリノベーションの傾向について、話を聞いた。

・富裕層からは「全部お任せ」の場合も!

東京都内のマンションのリノベーション物件の様子


倉島さんによると、金銭的に余裕のある家庭のリノベーションでは、「オンリーワン」を求められることが多いという。自分だけの家を求めて中古物件を購入し、カスタムすることで「オンリーワン」の家を作り上げる。

また顧客により要望も様々。詳細なリサーチの上で「こうしてほしい」といったピンポイントの指示がある場合もあれば、「すべてお任せ!」と、提案を求められる場合もあるという。

「『すべて〇〇さんにおまかせします』という感じのオーダーの場合は、やりがいも感じますが、プレッシャーも相当あります」(倉島さん)

実際のリノベーション物件の事例を紹介してもらった。

東京都内のマンションのリノベーション物件の様子。「組子細工」が施された扉が秀逸!


全部おまかせといったオーダーのリノベーションの場合、顧客の言動から趣向や好みを推測し、拠り所にしながら提案していくと倉島さんは語る。

上の画像は、あるリノベーション物件の玄関からリビングへと続く扉だ。

写真では分かりにくいかもしれないが、秋田県の伝統工芸である「組子細工」により繊細に創り上げた装飾をガラスではさみこんだ逸品。

室町時代にまでその歴史を遡ることができる「組子細工」は、現在、数名の匠がその技術を受け継ぐのみ。接着剤やねじ、釘を一切使わず、職人の手作業で精緻に組み合わせることで、美しい模様が生まれる。

またこの物件では、部屋の顔となるエントランス部には楡の突板(つきいた)を採用。段差や継ぎ目が目立たないよう丁寧に仕上げることで「オンリーワン」の価値を表現した。

「ご一緒したショールームでの表情や言動などから、設計担当と提案を練っていくのですが、こちらが良かれと思って設計・提案したことすべてがプラスに働くわけではなく、失敗することもあります。そんなときはせっかくお金をかけて作ったものをすべて取り換える、なんてこともあります」(同)

・徹底リサーチによる合理的なリノベーションも!

東京都内のマンションのリノベーション物件の様子。クライアントのこだわりが詰まった家が完成した


「キッチンは〇〇〇、壁材は△△△、ライトは×××…」と、細部に至るまで徹底的にリサーチした上でリノベーションに臨む顧客も一定数いるという。

「すべておまかせという場合と、具体的なご要望がある場合、どちらの方が仕事が進めやすいということはありません。ただ、リサーチをよくされている方のほうが家に対するこだわりは強いように感じます。ある意味、合理的と言えるのではないでしょうか。

詳細なリサーチをされているお客様に、現場で私たちが教えて頂く場面などもあります(笑)。

それほど、こだわりを持っている住居のリノベーションを、私たちにゆだねてくださるというのはうれしいもの。私たちにできることであれば、可能な限り、オーダーを聞いていきたいと思っています」(同)

東京都内のマンションのリノベーション物件の様子。ガラスのパーテーションでスタイリッシュな印象に


顧客の収入や要望に関わらず、リノベーションの傾向のひとつとして、海外のデザイナーズホテルのような、快適かつ広がりのある空間に部屋を創り上げる例が増えているという。

「私たちの提案の1つに、ガラスのパーテーションがあります。居室を区切りながらも一体感を持たせることができる透明なパーテーションは、寝室やバスルームなどプライベートな空間をあえて見せることで、新しい価値をもたらします。これからリノベーションを考えている方におすすめしたいですね」(同)

なお、興味深いことに、ここまでお金をかけ、こだわりぬいて造り上げた家であっても、5年~10年で住み替える人が一定数いるのも、富裕層の特徴だという。

あくまでも家は投資のひとつ。そうした感覚が根付いているのかもしれない。

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