削りたての鰹節の香りが心に染みる!別格のお出汁を体感できる和食店2軒

澄み切った香気を引き出す職人技に魅了される
『伯雲』

小気味いい音を立てながら鰹節を削っていく


『伯雲』の店主の坂本慎吾さんは、日本料理歴19年で『龍吟』に10年在籍し、後半は料理長を任されていた。『龍吟』時代では『炎水』の伊藤さんの兄弟子にあたる。

一番大事なのは削りたてであるとしつつ「カウンターでひくからこそ香りが空間にまわる」と話す。

実際、間近で鰹節が削られると、嗅ぐというより香りを体感するといった瞬間を得て、昆布出汁に削り節が落とされると柔らかな芳香に包まれる。

仕上がりの理想は、鰹節の味が染みでた出汁ではなく、昆布のベースがしっかりあって鰹節の香りだけをすくいあげたもの。

「一番出汁はひいた瞬間から刻一刻と味が変わります。風味は風のように消えていくので、引きたてがやはり美味しいです」と、その刹那さにも惹かれているのだ。

鰹の味に支配されることなく、最大限に香りだけを引き出す


「鱧と松茸のお椀」。

鱧と松茸という古典的な組み合わせでいただくお椀。素材の味がにじみでて、ほのかに香る柚子が絶妙な存在感を出す。

最初は、お椀蓋を少しずらし、漏れ出る香りを楽しむツウもいるとか。溢れ出る香りを余すことなく堪能したい。


鹿児島県の超軟水の温泉水で利尻昆布の旨みを抽出し、同県の指宿市産の本枯節を落とす。

このとき、香りだけ引き出すことを念じるとか。



「一番出汁というけど0.9番出汁のイメージでひけと山本征治親方に言われていました」と『龍吟』出身の坂本さんは語る。

その繊細さは旬と調和するためでもあり、いまなら鱧と松茸と重なることで新たな香りの体験が楽しめる。

いざ味わうと、つま先まで染み渡るような滋味深さなのだ。


長崎県の壱岐でとれた鰹の塩たたき。藁でスモークしたあと高温の炭火で焼き上げている。

細長くカットして皮目を増やし、砕くようにかじることで皮から深い香りと旨みを感じられる。コース 27,500円。

繊細な日本料理を邪魔しない、上品な木の香りが漂う


内装のイメージは京都。

木を多用し、土壁や網代天井、快適な「宮崎椅子製作所」の椅子など、全般、心地よい空間となっている。


出来たての焼き物や炊き合わせを出すための小窓がカウンター正面にある。

ヒートランプの灯りが照明としてもいい雰囲気を醸す。



お出汁の香りに、心身ともにほぐされていく。カウンターで新たなる体験を共有すれば、2人の距離も自ずと縮まるはず。

無駄をそぎ落としたものこそ贅沢、それを知る大人たちの夜にぴったりの2軒だ。


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