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  • 高嶺の花 Vol.1

    高嶺の花:27歳美人CAに一目惚れした男。しかし、女の意外なプライベートを見てしまい…

    2021年も残りわずか。

    大手IT企業勤務、28歳の陽太(ようた)は焦っていた。

    この1年なにやっていたんだろうと。

    仕事も恋も、思い描いていたシナリオと全然違う…。

    これは一人の「こじらせ男子」が高嶺の花に挑戦する、令和の小さなラブストーリー。


    2回目がない男【前編】


    「陽太さん、今日はありがとうございました。それじゃ…あの、さようなら」

    土曜午後のプラチナ通り、オープンテラスのカフェ。ロケーションも気候もパーフェクトな休日のランチデートだった。

    それにもかかわらず、彼女は笑顔で、でもきっぱりと去っていった。

    ― ああ、またこのパターンか。

    僕は、思わずため息を一つつく。

    いつも通り、2回目のデートはないだろうという予感がした。それどころか、このあと一緒に行こうと思っていた映画にも誘えなかった。

    今年も残りわずかなのに、僕は、最近ずっとモヤモヤしている。思い描いていた28歳とはかけ離れたまま、終わってしまいそうな気配があるからだ。

    なんだか最近、仕事も恋も、いまひとつ乗らない。

    大手IT企業でアプリ開発をしている僕は、最近ルーティンの仕事に追われて、新企画のアイデアなどが全然出せていない。

    それに、彼女も見つけたいと思っていたのに…。

    飲みに行く機会がなくなり出会いの数も減った。なんとかしなければと、友人に勧められたマッチングアプリに3ヶ月ほど前に登録してみた。

    こんな僕でも、条件は悪くないからか、結構たくさんの「いいね」がつく。

    ところが、なぜか1回目のデートのあとが続かない。今日で5人続けて、初回デートで終了パターンだ。

    ― あーあ。映画は一人で観るか…。

    僕は、すでに予約済だった映画のスケジュールをスマホで確認して、ぶらぶらと歩き始めた。

    一体なぜ、「2回目がない男」になってしまうのだろう。一つだけ言えるのは、顔が悪いとかいう問題ではないということ。

    それについては、確かな「エビデンス」があるのだ。

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