男と女の怪談~25歳以下閲覧禁止~ Vol.46

港区で話題の2億8千万のタワマンを購入した夫婦。ラウンジを利用して夫を欺き始めた女は…


秋三夜「男を見る目がある女」


港区の一等地にある新築タワーマンションで、私は新婚生活をスタートさせることになった。

3LDKで2億8千万――。

共用部にはジム、ラウンジ、パーティールームにゲストルーム。1階には託児所もあり、エントランスに流れる水のせせらぎが住人を癒してくれる。

選ばれた者しか住むことができないこの場所で、新生活を始められるなんて…。

― 私ってば、前世でとんでもなくイイコトでもしたのかしら。

だって、そうとしか思えない。

何か特別な才能があるわけじゃない。血のにじむような努力をしたわけでもない。

特筆すべきものがあるとすれば、結婚すべき男の人を見極める能力がある、といったところだろうか。

東京には、とびきりキレイな独身の20代女子はたくさんいるが、男を見る目がある子はあまりいない。

美人だけではダメ。

男を見る目が備わって、女は初めて結婚の最適解を導き出すことができる。

港区に生息するたいていの女の子は、やれ外銀だ、IT経営者だと同じ狩場に群がっていく。

私は逆に張った。港区女子たちの狭い世界に早々に見切りをつけ、経営者セミナーや不動産運用勉強会に出入りする。そこで人脈を広げていき、ついに港区界隈には一切出現しないツチノコ男の捕獲に成功した。

新居に引っ越してきて3日目、眩い夜景をベランダからうっとりと眺める。

「シンちゃん、私、本当に幸せ。こんな素敵なところで暮らせるなんて」

それは、偽りのない私の素直な気持ちだ。彼の貧相な体つきも、流行りのお店ひとつ知らない堅物ぶりも、この新居の中ではまったく気にならない。

「僕も、茉莉と結婚できるなんてホントに幸せ」

真面目な彼と私の間には、隠し事なんてなかった。

でも、このマンションに引っ越してから、たった一つだけ、私にはシンちゃんに秘密ができた。私は昨日の「事件」を、ありありと思い出していた。

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