男と女の怪談~25歳以下閲覧禁止~ Vol.31

「最高でも医者妻、最低でも医者妻」夢を叶えた25歳女が、結婚式直前に知った戦慄の真実

医者と出会う計画


「医者の妻になるには、ある程度学歴もないとだめ。結局いつだって医者みたいな人種は、伴侶には美人で賢くて、育ちもいい女を選ぶのよ」

そこそこ勉強はさせられてきたので、私は女子校から、現役で上智大学に難なく合格した。

食事会やサークルイベントで医大生とつながりをつくり、研修医になった兄の友人とも交流しながらメディカル人脈を着実に広げていく。

「勝負をかけるのは、自分の商品価値が最高に高まってから」という母のアドバイスに納得していたので、界隈の噂には十分に気をつけていた。

そして大学3年のとき、母が見つけてきたエアライン受験スクールに半年間通った。写真写りのコツ、独特な服装ルールと面接のマナーをひと通り習得したら、あとは微笑むだけ。

外資系と国内大手エアラインの両方に合格したが、「医者と結婚するなら、国内大手2社のどちらかにしなさい」という母の命に従った。

それに、自立が求められる外資系で海外をベースに飛ぶなどという勇気を、私は持ち合わせていなかった。

私の目標は、とにかく医者の妻。

絶対に医者の妻になって、医者の既得権益を一緒に享受し、生涯にわたってこの東京で恵まれた生活を送るのだ。


「沙耶ってさあ、なんでそんなに医者が好きなの?最近は、勤務医なんてサラリーマンの給与と変わんないとかいうじゃない?この前の投資ファンドの人たちのほうが稼ぐよ?」

CAになってからは、一緒にいることでブランド価値が上がる同期と食事会に出かけることが増えていた。

そのうちの一人、理名が、ある日とぼけた質問をしてきた。

「ほんとー。医者ってそんなにいいかな?なんか結構激務だし、意外に遊び慣れてない人が多くて、商社マンとかのほうが付き合ってて楽しい気がする」

同じく同期の三奈の言葉を、私は愛想笑いとともに、その言葉を跳ねのけた。

「それは医者のすごさを知らないからよ。うちみたいに右も左も医者だと、医者がどんなに恵まれてるかよくわかるの。この先なにが起きても、絶対に必要な国家資格よ。

人を助けて、感謝されて、お金も稼ぐ。開業医の場合、なんだかんだいって普通のサラリーマンとは比べものにならないし。さらにその妻ともなれば…。母の生活を見ていると、女としてこれ以上の幸せはないんじゃないかと思うわ」

私の熱弁に、理名と三奈はまだ納得できないのか、首をかしげている。

無理もない。

人は、自分がいかに恵まれているかなんて他人には話さないもの。可哀想に、医者がいかに恵まれ、素晴らしい仕事かということは、身内にしかわからないのだ。

でもそれでかまわない。周囲までも医者狙いばかりだと、それも都合が悪い。その価値は、私が知っていればよい話だ。

まもなく25歳。出産適齢期について知識がある医者は、意外に女性の年齢も気にする。

機は熟した。私は本気で「出会い」に行くことにした。

そしてある日、とうとう、運命の日が訪れる。それはあまりにも…予想とは違う形だったけれども。

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