2021.04.07
どんなに楽しいことでも、続けていけばヒトは〝飽きる〟もの。
だが、俳優・神木隆之介さんは芸歴25年目にしてもなお、芝居を通じて誰かになり切ることを今も「楽しい」と断言する。
そのモチベーションはどこにあるのか、俳優という仕事に対してどう向き合っているのか?
彼の本音に迫った。
◆
いつか辞めてやろう。その振り切った考えが、今の原動力になっている
神木さんがデビューしたのは2歳の頃のこと。生後間もなく生死をさまよう大病を患ったことから、母が「生きている証しを残したい」と、芸能事務所に応募したという。
物心が付いた時には、すでに俳優。自分ではない誰かに扮する日常を、子どもながらに「楽しい」と感じていたようだ。
神木さんは澄んだ目をして、こう言った。
「自分とは違う価値観を持った人になれるのが、この仕事の醍醐味。芝居の最中は、現実逃避しているような感じがする。それが面白い」
俳優とは、そういうものかもしれない。だが一方で、本当にそうなのだろうかという疑問も湧く。
なにしろ、神木さんの芸歴は25年だ。仮に、大学を卒業して社会に出るのが一般的な人生の送り方とするならば、彼は27歳にして、職業人としてはすでにベテランの域に達していることになる。マンネリを感じていてもおかしくは、ない。
その思いをあえてストレートにぶつけてみると、思いがけない答えが返ってきた。
「いつかこの仕事を辞めてやろう。その気持ちを、モチベーションにしているんです」
呆気にとられるこちらとは対照的に、神木さんは平然としていた。
そして、こんな話をしてくれた。
「僕の周りには一般企業で働く友人がたくさんいて、彼らの話を聞くたびに思うんです。
自分には上司もいなければ、部下もいない。社会の荒波にもまれたり、組織の不条理に悩まされたりすることもなかった。だから、僕はこの先も今の環境でしか生きられないだろうなあ、と。
同時に、不安も感じているんです。芸能界は競争が激しいから、明日には必要とされなくなっているかもしれない。そんな不確かな状況になん十年も身を置くのは、精神的に酷だろう、と。
それで悶々としていたら、ある時母が言ってくれたんですよ。役者でなくてもいい。一人の息子として元気に幸せに暮らしてくれることが、親にとっての幸せだ、って」
辞めるという選択肢に気づけて、失敗することへの恐怖心もなくなった
そして、さらに言葉を継いだ。
「幼い頃から、僕は俳優でした。活躍すれば親は喜んでくれたから、自分がこの仕事をやっていることが正解だと思い込んでしまったみたいです。
それが、辞めるという選択肢もあることに気づけたおかげで、すとんと肩の荷が下りました。
もう失敗は恐れません。やりたいことがあれば、挑戦します」
吹っ切れた。つまりは、そういうことなのだろう。
失敗を恐れるのは人間として当然の心理かもしれないが、失敗から多くを学ぶ人ほど、成功する可能性が高くなると言える。
その点、神木さんは一皮むけたのかもしれない。
◆
■プロフィール
神木隆之介 1993年生まれ。近作に4月より放送の日本テレビ系ドラマ『コントが始まる』、映画『100日間生きたワニ』。公式YouTubeチャンネル「リュウチューブ」が好評配信中。
■衣装
ジャケット 45,000円、ベスト 25,000円、パンツ 35,000円〈すべてコパノ86 × ウィエップ/ウィエップ TEL:050-3393-1939〉、ハット参考商品〈サラヴァ/フェイス TEL:03-6304-2937〉、シューズ 34,000円〈クラークス オリジナルズ/クラークスジャパン TEL:03-5411-3055〉、バッグ(席の下)39,800円〈ヴィンテージ/アームズ クロージング ストア TEL:03-3793-5334〉、バッグ(網棚)18,800円〈メイ/スタンレーインターナショナル TEL:03-3760-6088〉、その他スタイリスト私物
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