2021.04.12
その男女、ひと癖あり Vol.1― どうする、俺…。
何と答えるべきか、必死に過去の記憶をたどりながら考える。
ほとんど女性経験のない俺だが、実は今までの人生で一度だけ彼女ができたことがあった。相手は友人に誘われた食事会で出会った、モデル志望で3歳年下の女の子。
見た目はめちゃくちゃ可愛かったが、とにかく精神的に不安定な子で、彼女のわがままに付き合いきれず半年くらいで別れてしまった。
モデル関係の子と付き合っていたと言えば、そこそこモテてきたように印象付けられるかもしれない。
それに、精神的に不安定な子を支えていたことを話せば、悪い男とは思われないだろう。
「元カノは3年前くらい?に別れたんだけど、モデル志望の子だったよ。メンタルが弱くて、しょっちゅう夜中に泣きながら電話をかけてこられてさあ。大変だったよ…。ハハハ」
そこまで話し終えると、目の前の女性社員二人は見たこともないような怪訝な表情をしていた。
「えっ…。モデル“志望”でメンヘラって、地雷すぎません?」
「川辺先輩、格好良くてモテそうなのに、何でそんな子に引っかかっちゃったんですか?」
そう話す二人の反応は、完全に想定外だったのだ。
「“女の子”ってさあ、メンタル弱い子多いよね~。俺、そういうのに対処するのが苦手でさあ…」
そう言うと、心を落ち着けるためにドリンクを飲もうとするが、グラスはいつの間にか空になっている。さすがに動揺を隠しきれなくなったとき、先輩の何気ない一言が追い打ちをかけてきた。
「あれ。そういえば川辺って、ずっと男子校だったんだっけ?」
黙って頷くと、丸山百花がひらめいたような表情で語り出した。
「もしかして…。川辺先輩って、女の人が何で傷つくか分からないから、とにかく優しくしちゃうんでしょ?」
否定する隙もなく、飯田優里がこう続ける。
「なるほど~!だから、そういう不安定な子に好かれちゃうし、それが女のすべてだって思っちゃうのか」
「先輩って、そのメンヘラ女子としか付き合ったことないんですか?」
彼女たちの意見が図星すぎて、冷や汗が止まらなくなってくる。
確かに俺は、ほとんど女性と付き合ったことがない。だから“女は感情の浮き沈みが激しくて、束縛しがちだ”という、凝り固まったイメージがあるのだ。
― このままでは、俺の恋愛経験の乏しさがバレるだけで終わってしまう。何か、反撃をしないと。
「いや、そういうわけじゃないけど…」
しかし。ここからというところで、背後からゲームオーバーを告げる声が聞こえた。
「お話し中すみません、そろそろ閉店のお時間になります」
ぎょっとして腕時計を見ると、時刻は22時を指している。結局何の弁解も叶わず、この食事会はあっけなく終わってしまった。
「今日は川辺先輩のこと、いろいろ知ることができて楽しかったです」
駅の改札前で別れるとき。飯田優里はそう言うと、そそくさと帰って行ってしまった。
― 26にもなって、恋愛経験が少なすぎる男はモテないよなあ。失敗した…。
どうすれば“モテない男”を卒業できるのか。…そんなことを考えながら、自宅への道のりをトボトボと歩くのだった。
今週のひと癖エピソード:“女子=メンヘラ”だと決めつける男は要注意。女性経験少なめな可能性アリ!
▶他にも:付き合う前の女の部屋で、一夜を明かしてしまった。翌朝、彼女が漏らした“まさかの本音”に…
▶Next:4月19日 月曜更新予定
この質問をしてくる女は、実家で○○している!?彼を困らせた言葉の裏にある、女の本音
でも個人的な感想では、飯田優里もだいぶ癖があるように思ったけど。いきなり前の彼女ってどんな人だったんですかとか聞くのはアリなのかなぁ?
モデル志望でメンヘラ、地雷すぎます
等々、わかったような口聞きやがってと思いましたけど。
男子校で免疫無くて、高学歴・高収入だと、本人が素直だからこそ地雷女性に引っかかってしまうことがあるイメージ。
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