東京修羅場ファイル Vol.3

金切り声をあげる女の前で、堂々と…。我慢の限界に達した妻が、咄嗟に取った行動

修羅場。

それは血みどろの激しい戦いや争いの行われる場所、またその場面のことを指す。

恋人との別れ話や、夫婦関係のいざこざ。

両者の主張がもつれたとき、それは恐ろしいほどの修羅場にまで発展してしまうのだ…。

これは東京に生きる男女の間で、実際に起きた修羅場の物語である。

▶前回:バスルームの扉が開いた瞬間に…。安心感優先で“冴えない男”と結婚した、32歳女の末路


Vol.3 悪口姑と住む女


名前:佐川奈津(仮名)
年齢:32歳
職業:専業主婦


―ここから、逃げなきゃ。

奈津はそう思いながら、張り付いた笑顔のままキッチンにしゃがみ込んだ。今さっき、手を滑らせて割ってしまったグラスを拾うために。

大理石に散らばるキラキラとした破片たち。それを見て、姑は言った。

「あなた、ガサツねえ。何もかも」

鼻で笑うようにそう言い残して、リビングに消えていく姑の後ろ姿。

その背中を見ながら、奈津はプロポーズを受けて、夫の実家へ挨拶をしに行った日のことを思い出していた。

本当にここは都内なのかと思うほどの豪邸に案内され、緊張していた自分に、拍子抜けするほど優しく接してくれた姑。

「まさか、こんなに素敵な方が来てくださるなんて」

黒留袖に身を包んだ彼女は、そう言って穏やかに微笑んだのだ。

―あれは本当に夢だったんじゃないかしら。

グラスの欠片を新聞紙の上に集めながら、奈津は小さくつぶやく。

「こうなったら湊斗だけは、私が守らないと…」

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