振り返れば、そこにいる Vol.2

片思い中の男の後を、こっそり追ってみたら…?女が見てしまったショックな光景

―やっぱり今日も素敵だなあ。

仁美は、真剣な表情で仕事をしている佐伯を、ジッと見つめる。

彼に会えることが楽しみで待ちきれなかった仁美は、今朝2時間も早く起床して、丁寧に髪を巻き、メイクを施した。

マスク生活で口元は見えないから、せめてアイメイクは華やかにしようとしたせいで、若干オフィスでは浮いてしまうほど濃くなってしまった。だけど、佐伯の目に留まるならなんでもいい。

仁美は自信たっぷりといった様子で、いつ佐伯と目が合うのかとワクワクしていた。

それなのに研修中、佐伯とは一度も目が合わなかったのだ。…自分の勘違いかもしれないが、彼はわざと、目線を合わさないようにしている気がする。

それに気付いた瞬間、仁美はどんどん不安になってきた。

―でも、夜はご飯に行けるはずだから。

もはやそれだけが、仁美の心の支えだった。

研修が終わると、佐伯はいつものように女子社員に話しかけられていた。仁美はなんだか気まずくて、会話に入っていくことができず、自分の席からこっそりと様子を伺う。

「佐伯さん!先月みたいにまたご飯に行きませんか?」

そう言って、佐伯を誘う声が聞こえてくる。

「ああ、ごめんね。今日は先約があるんだ」

「え~、そうなんですか…」

それをスマートにかわす佐伯を見て、仁美の期待は高まった。

―もしかして、私と2人きりでご飯に行くため?

まさかの展開に、仁美の心臓はバクバクと音を立て始める。それなら急いでメイクを直さないと、と思い、仁美は化粧室へ駆け込む。

最後に軽く香水まで振ると、仁美は佐伯が待っているであろう会議室へと向かった。


「あれ、真っ暗だ…」

会議室はすでに電気が消されていて、誰もいなかった。オフィスにも、佐伯の姿はない。

もしかしたら1階のロビーで待っているのかもしれないと思い、急いでエレベーターを降りるが、やっぱり佐伯はいなかった。

―私との約束なんて、忘れちゃってたんだ。

仁美はショックのあまり、その場に立ちつくしてしまう。

すると、そのタイミングでビルの自動ドアが開いた。ドアの方を振り返ると、ちょうどビルを出ていく佐伯の姿が見えたのだ。

「え、佐伯さん…!」

思わず小さな声で叫んだ仁美だったが、その声に気付くはずもない佐伯は、どんどん駅の方へと向かっていく。

こんなことするなんて、悪い女だとは分かっている。でも、どうしても気になる。

仁美は、こっそりと佐伯のあとをつけることにした。

佐伯は会社の最寄駅である西梅田から四つ橋線に乗り、肥後橋駅で電車を降りた。そして通い慣れた様子で、コンラッド大阪のエントランスへと吸い込まれていく。

そしてそこで立ち止まった佐伯は、キョロキョロと辺りを見回していた。

―誰かと待ち合わせしてるのかな。

すると佐伯は誰かを見つけた様子で、途端に笑顔になった。そこに黒のタイトなワンピースをサラリと着こなした女が駆け寄ってきて、彼の腕にしがみついたのだ。

「ウソ、なんで…!?」

ショックな光景を目の当たりにした仁美は、佐伯の隣で微笑む女を睨み付ける。

そのとき女の左手薬指に、キラリと光る指輪がはめられているのを、仁美は見つけてしまったのだった。


▶前回:「私のことアリじゃなかったの?」オトせたと思っていた男の態度が、翌朝になって急変したワケ

▶︎NEXT:12月8日 火曜更新予定
ショックな光景を目の当たりにした仁美が、その後取った行動とは…?

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この記事へのコメント

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No Name
返信来ないうちに更にメール連打とか、何度も電話とか、やればやるほど逃げられるのに。
『あと一度でもいいから』‥‥って絶対そんなわけないでしょ笑
2020/12/01 05:2799+
No Name
仁美、それストーカーや…
2020/12/01 05:1699+返信3件
No Name
佐伯やっぱり既婚者かあ
軽い遊びのつもりだったんだろうけど
ここから転落していくんだろうなw
2020/12/01 05:1499+返信4件
No Name
社内で火遊びは危険しかないぜ。
2020/12/01 05:2759
No Name
佐伯も悪そうだけど、何より仁美の頭の悪さ。今でもこんなニャンニャンOLがいるのかと思うと、朝から不愉快。
仕事しろよってかんじ。
2020/12/01 07:2053返信1件
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