日常に起こる物語を演じるのに、多部未華子さんほど説得力のある女優はそういない。
多部さんは常に等身大の女性のリアルを表現し、私たちの心を掴む。
そんな女優が大好物の火鍋を前に素顔をみせると、なぜ彼女が、どの作品でも身近さを醸すことができるのかが伝わってきた。
2020年、ドラマの大ヒットを経て多部未華子さんが火鍋を前に語った夢とは?
多部さんといえば今年は主演ドラマ『私の家政夫ナギサさん』が大ヒット。近年は経理、製薬会社のMR、編集者と、等身大の働く女性を演じる機会が多い。そこで、役に入り込むためにしていることを、聞いた。
「役者さんによってはバックグラウンドを緻密に考える方もいると思うのですが、私は台本を読んで思った通りにやってみようというタイプです。
何も考えてないんですよね……。監督が現場で言うことや他のキャストのお芝居をみて、あっ、こういう感じかと掴んだり、やっぱり感覚ですね。
自分をその場に馴染ませようとするような。なので、事前に何かを考えたり、こう演じようと思うこともなくて……」。
ぐつぐつと湯気を上げ始めた火鍋を前に、ぽつりぽつりと語りだした。
多部さんが訪れたのは、「グランド ハイアット 東京」の6Fにある『チャイナルーム』。
同店の冬の名物のひとつが火鍋で、今年の新作は「漢方和牛の薬膳コラーゲン火鍋」。美容と健康を意識して考案された鍋であり、9種もの漢方が入った赤いスープは活力が湧くパンチのある味わい。
コラーゲンをたっぷり含む5種の漢方が入った白湯スープも女性に好評だ。
「私、火鍋が凄く好きで頻繁に行きます」と話すから、素の表情なのだろう。
「火鍋は身体にいいし家では食べられないものなので、女同士で集まるとなるとだいたい火鍋。そこでお喋りを楽しみます。
ちょうど10日前には赤坂の……?漢字四文字のところに行って、1カ月前は広尾の……?あれ、名前が全部分からないです。ふふふ(笑)」
何も取り繕わず、すべての言葉が真っ正直で愛らしい。
『私の家政夫ナギサさん』の多部さんによる食事シーンは食べっぷりがよく、かつきれいだったと伝えた時は具体的な考えが出てきた。
「食べるシーンは大事だと思っているので、なるべくたくさん食べるようにしています。家でドラマを見ていて、この役者さんは台詞があるから少ししか食べないのかなと思ってしまうことがあるんです。
普段は箸にのせるごはんの量を意識しないじゃないですか。食べ方に関しては演技ではなく日常のままを心がけています」
食事シーンはきっと一例。他にも何気ない日常を絶妙に演じるシーンは多々あって、人間味あふれる“多部ちゃん”の演技に、思わず私たちは心を掴まれる。
そんな彼女の飾らない言葉の数々は、月刊誌最新号のインタビューにも散りばめられている。
読み終わればきっと、「自分もあと一歩頑張ろう」と思えるに違いない。
■プロフィール
多部未華子 1989年生まれ、東京都出身。2002年に俳優デビューし、以降、多くの映画やドラマのヒット作に出演。現在は主演映画『空に住む』(青山真治監督作)が公開中。両親が急死し、孤独を抱えながらも希望を見出そうとする女性編集者を演じている
■衣装
コート 48,000円〈Room no.8/otto design TEL:03-6804-9559〉、ワンピース 56,000円〈LOKITHO/ALPINISME TEL:03-6416-8845〉、ネックレス 260,000円、バングル 230,000円、リング右 600,000円、リング左 360,000円〈すべてMESSIKA/メシカジャパン株式会社 TEL:03-5946-8299〉、バッグ 134,000円〈OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™/eastland TEL:03-6712-6777〉
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