2020.12.03
ストラテジックな彼女 Vol.1「礼美さんはどういう人生計画だったんですか?」
「人生計画…?う〜ん、30歳までには結婚して子供産みたいなぁって思ってたけど」
受験だって就職だって数年前から対策をするのが当たり前だというのに、どうして『結婚』になった途端、計画もせずに漠然と流れに身を任せて努力を怠るのだろう。
類稀なる美貌や才能を持っているわけではない私たちのような人間は、頭を使って生きるべきだというのに。
「じゃあなんで5年間もグズグズしてたんですか?30歳までに第一子を産みたいなら26歳のうちにプロポーズされる必要があるのに…」
「そうなの…?」
「これ、見てください」
凛子はPCを開き、礼美の目の前に突き出した。
「え、なに、これ…」
礼美は画面を覗き込むや否や、目を見開き、ギョッとした顔をした。
「実は私も “30歳までに第一子出産”というゴールを設定しているので、逆算しているんです」
「な、何かのプレゼン用…?凄いクオリティのパワポね…」
礼美は目を見開いたまま身を乗り出し、PC画面を凝視した。
「妊娠期間は10ヶ月間。すぐに妊娠できるとは限らないので28歳のうちに子作りを始める必要がある。夫婦だけの生活を1年くらいは満喫したいので27歳で結婚。プロポーズから入籍まで半年かかるとすると26歳のうちにプロポーズされる必要がある。私はそのつもりで動いています」
「え、凛子ちゃん来年プロポーズされる予定があるってこと?今は誰とも付き合う気はないってこの前言ってなかった?」
「20代前半って市場価値が物凄く高いので、その時に得られるはずの恩恵を全て捨てて、一人の男性にコミットするのは無駄だと思うんです」
20代前半どころか20代後半の5年間を一人の男性にコミットし、無駄にしてしまった礼美を、凛子は心の底から気の毒に思う。
「毎日食事会をすれば単純計算で3人×365日、たった1年で1,000人以上の男性と出会うことが出来る。これまで、食事会やオンラインパーティーに捧げて、膨大なサンプルを取得しました。やっと結婚適齢期になったので、今年のクリスマス辺りから誰かとお付き合いを始めて来年プロポーズされる予定です♡」
青写真を描く凛子を見て、礼美はまるで全てを悟った人生の先輩かの如く慈悲深い眼差しを向けてきた。
「まぁでも、恋愛はそんなに計画通りにいかないものよ。私だって20代のうちにプロポーズされる予定だったのに、逆にフラれちゃったんだから…」
“30歳までに結婚して子供を産みたいなぁ〜♡”という礼美の淡い期待は、“計画”でもなんでもなく所詮ただの“願望”でしかない。
心の中で願っているだけで叶うほど、人生甘くない。
”20代までにプロポーズされる予定“だったのであれば、目標を達成するための計画を実行する必要があるのだ。
「礼美さん、プロポーズされるように仕向けました?」
「え…いや…仕向けるとか…そういう嫌らしいことはしたくなくて」
「恋愛も“PDCA”を回すべきですよ」
礼美は凛子から目をそらすように、“confidential”と書かれた怪しいタグに目をやった。
「え…、このページはなに…?」
「膨大な数なので、今まで出会った男性は全員エクセルで管理してるんです」
凛子は、名前、年齢、出身地、顔、学歴、経歴、家族構成、将来の夢、好きな女性のタイプ、元カノ遍歴、性癖など、男性のありとあらゆる情報をエクセルで管理していたのだ。
LINEパターンやデートパターン、セックスの出し惜しみまで全て検証済みで勝率まで算出してある。
結婚適齢期になった今、今まで収集したデータを元にタイプに合った攻略法を使って、あとは効率的に攻めるだけなのだ。
「はぁ…なんて戦略的なの。こんな25歳がいたら敵わないわ。私を振った彼も、別れた直後に交際3ヶ月で25歳の女と電撃婚したの。やっぱり男って若い女が好きなのよ。30なんておばさんなのよね」
—別れた直後に25歳の女と電撃婚…?
凛子の頭の中では3つの仮説が浮かんだ。その仮説が正しければ、礼美の破局は不幸中の幸いだ。
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