1杯のドリンクが呼ぶ、予想外の展開
それは大学時代のゼミ仲間から「ずっと延期になっていた同窓会を、オンラインで開催しよう」という連絡だった。
奈美のゼミ仲間は転勤していたり、子育て中だったりとそれぞれの環境で頑張っているので、このご時世オンラインが最適だということらしい。
ただ、オンラインとはいえ久しぶりの飲み会なのだから、ちょっと“映え”て美味しいドリンクを飲みたい。
ーこんな時こそ、アレかな。
奈美はいつものように、スパークリングワインのアセロラのドリンク割りを作った。おつまみにはオリーブとピスタチオを用意し、お気に入りの可愛いモコモコパーカーでPCの前に座る。
久しぶりの旧友との再会は、オンラインといえども最高に盛り上がった。
皆がほろ酔いになった頃、メンバーの1人で今は外資系製薬会社のMRとして働いている奏太が、ふと真面目な顔になり、カメラに顔を寄せてきた。自分のPC画面をジッと見ているようだ。
「なんかさ、奈美、昔よりキレイになった?それに、その綺麗な色のドリンクもなんかイイ感じじゃん」
「ええ…そう?」
奈美は笑顔でかわしながらも、ちょっとドキッとして前髪をサッと整える。大学時代には毎日のように一緒に遊んでいた奏太だが、改めてそんなことを言われるとドギマギしてしまう。
「これね、アセロラのドリンクをスパークリングワインで割ってるの」
「アセロラ!あれはビタミンCたっぷりだからな。MR的に、体にいいとされる流行りものはおさえとかなきゃ。アレンジレシピもあるんだね」
「うんうん、そうなの。アセロラは、体にもいい上に、色も綺麗だから飲んでるだけでテンションあがるよ!」
考えてみると社会人5年目の頃、長期研修で1年間アメリカに行ってしまった奏太とは、それ以来なんとなく疎遠になってしまい、こんな風に他愛もない話をするのは久しぶりだ。
「なんか、体のこと考えて、丁寧に暮らしてるって感じだな」
もっとも、他の人も参加しているオンライン飲みで、奏太とばかり個人的に話すわけにもいかない。
飲み会が終わった後、奈美の心に浮かんだのは「もっと奏太と話したかったな…」という想いだった。
◆
―奏太のこと、久しぶりに食事に誘ってみようかなあ…。でも彼女いたら図々しいよね。そこだけでも聞いとけばよかったな。
その翌週、奈美が考えこみながら東京駅を歩いていると、なんと奏太からメッセージが届いた。
「昨日会社帰りにドラッグストアで奈美が教えてくれたアセロラのドリンク発見!こんなアレンジ、どう?」
続いて送られてきたソルティライム風の写真。
「これ、自信作。…今度一緒にどうかな?」
笑っちゃうくらい見え見えの口実。でも、だからこそ、すごく嬉しくて。
―もしかして奏太も、会いたいと思ってくれたのかも?
悩んでるだけじゃ始まらない。奈美は思い切って「ぜひ♡今週末はどう?」と返信する。
すぐについた既読と、連打された嬉しそうなスタンプ。
奏太が送ってくれた、透き通るような赤色に輝くドリンクの写真をもう一度見ていると、余裕をなくして焦っていた自分が嘘のように、心も体も軽く感じられた。
こんな時代でも。
こんな時代だからこそ、小さなきっかけを大切に“予想外”に乗ってみよう。
久しぶりに高鳴る胸に、奈美は思わず抜けるような冬の青空を見上げた。
Fin.
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