5.2%の憂鬱〜妻からの挑戦状〜 Vol.1

5.2%の憂鬱〜妻からの挑戦状〜:自宅から徒歩15分のホテルに泊まる妻。夫の存在を無視して、女がしていたこと

「そういえば…」

ふと気になった新は、今晩伊織はどこに泊まっているのだろうかと、共通のアカウントでホテル予約サイトにログインしてみたのだ。

「ここ!?それなら帰ってくればいいのに…」

伊織はいつも、夫婦の共通アカウントでホテルの予約を取る。今日宿泊するホテルは、自宅から歩いて15分ほどのビジネスホテルだった。

ホテルに泊まること自体には反対ではない。新太だって1人になりたい時には泊まることもある。問題は、その頻度だ。

最初は1ヶ月に1回程度だったものが、今ではほぼ毎週になっている。

それに今日のように、自宅からさほど遠くないホテルに泊まる理由が分からない。

新太は妻の考えていることがまったく分からず、頭を抱えるのだった。


こんなはずじゃなかったのに…


一条新太は、公認会計士として働く29歳。妻の伊織は、小さなWeb制作会社でデザイナーとして働いている。

住まいは、目黒にある家賃20万・1LDKの低層マンションだ。

新太は本業のほかに、友人の立ち上げたスタートアップの外部顧問などをしている。そのおかげもあり、世帯年収は1,500万を超えているのだ。これは他の20代の夫婦と比べても、高い方であると思う。

さらに最近は、妻の伊織も副業を始めた。友人の会社のwebページ制作などを手伝っているらしいが、具体的な収入は知らない。

生活に必要な費用は基本的に新太が出していて、余暇の時なんかは2人で折半。上を見たらキリがない東京だが、自分たちの生活は悪くないはずだ。

それに新太と伊織は、結婚したとはいえ、お互い1人の時間や自由を大事にしたいタイプだった。

1人になりたい時には、どちらかがホテルに泊まったりしていて、夫婦生活と1人暮らしの良いとこどりの生活を送っている。

子どもが産まれたらそうもいかないだろうが、当面はこの自由な関係を続けたいし、伊織も同じ気持ちだろう。

そんな自由な夫婦関係もあって、平日の夜や休日は副業に充てる時間があるのだ。

新太が副業を始めたのは、友人に誘われたのがキッカケだったから、自ら進んでやろうと思っていたわけではない。公認会計士は人手不足ということもあり、アドバイザーとして声がかかったのだ。

「体調第一でやってよね。健康を害したら、元も子もないんだから」

副業を始める前、伊織に相談した時は「無茶な働き方はやめてほしい」と忠告しながらも、反対はしなかった。それに「私もサポートをがんばる」と言ってくれたものだ。

それなのに最近では、彼女自身が無茶な働き方をしているし、家にすら帰ってこなくなってしまった。

この記事へのコメント

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No Name
そもそも夫が公認会計士の資格あって副業してて、妻も一般職でもない29歳夫婦なのに世帯年収1500万って低すぎない?どういう設定?そりゃ妻も危機感覚えるよ。
専門学校卒とかならそりゃすごいけど、そこそこの大卒だとしなら二馬力でアラサーで1500万は普通もいいとこで夫が自慢するほどの額ではない。
2020/11/11 05:4383返信22件
No Name
新太よ、ボーッとするなら先に洗濯機をまわしてからにして。
2020/11/11 06:5982返信2件
No Name
家にいたら家事全部押し付けられるから帰りたくないんでしょ?普通に夫が繁忙期だけでも掃除洗濯食事の支度を積極的にしてくれたらホテル泊まるまではしないのでは。
2020/11/11 05:4478返信2件
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