たかが離婚、されど離婚 Vol.6

「私の旦那を、たぶらかしたでしょ?」男と2回食事したら、彼の妻が職場に殴り込んできて…

「一人のひとと、生涯添い遂げたい」。結婚した男女であれば、皆がそう願うはずだ。

しかし現実とは残酷なもので、離婚する夫婦は世の中にごまんといる。だが人生でどんな経験をしたとしても、それを傷とするのかバネとするのかは、その人次第。

たかが離婚、されど離婚。

結婚という現実を熟知した男女が、傷を抱えながら幸せを探していくラブ・ストーリー。

◆これまでのあらすじ

大友将人は妻と別居中。しかし彼の妻・真由子は監視魔だった。

尾形友梨の仕事中、突然現れた真由子は、将人と友梨が不倫関係にあると誤解していて…。

▶前回:妻の行動を、24時間スマホで監視していたら…。夫が激しく動揺した、彼女の居場所とは


―えっ…。今、私ビンタされたの…?

友梨は、頬にそっと手を当てた。ジンジンと脈を打つ頬の熱は、次第に痛みへと変わり、その痛みに突き動かされるように頭はフル回転する。

将人とは確かに2度食事をしたが、むしろ妻ときちんと向き合うよう勧めたのは友梨なのだ。誓ってやましいことなどしていないし、将人に恋愛感情を持ったこともない。

―どうして叩かれなくちゃいけないの…?

将人の妻・真由子の口ぶりから察するに、将人と友梨が不倫中だと誤解しているらしい。

―奥さんと話し合うって言ってたけど、どんな話し合いをしたらこんな状況になるのよ!

心の中で悪態をついたが、努めて落ち着いて語りかける。

「真由子先輩の勘違いです。私は大友くんと不倫なんてしてません。同窓会で再会して、少し話しただけです」

真由子は鼻で笑い、髪をかきあげた。この雰囲気に似つかわしくない、美しい髪だった。

「私があなたの言うことなんて信じると思う?こっちは、自分の旦那をたぶらかされたのよ?」

「でも…」

「でも、じゃない」

友梨は必死に言い募るが、真由子は聞く耳を持たない。冷たい目で笑いながら、静かに言い放つ。

「私は、あなたたちの秘密を知っているの」

絵画のように美しいが、ぞっとするような笑みだった。

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