溺れる男~理性と本能のあいだで~ Vol.9

「嘘だろ…そんな女だったの?」初めて訪れた女の自宅で、男が困惑してしまったワケ

—理性と本能—

どちらが信頼に値するのだろうか
理性に従いすぎるとつまらない、本能に振り回されれば破綻する…

順風満帆な人生を歩んできた一人の男が対照的な二人の女性の間で揺れ動く

男が抱える複雑な感情や様々な葛藤に答えは出るのだろうか…

◆これまでのあらすじ

商社マン・誠一は、婚約者・可奈子が仕向けた刺客だということを知らずに、魔性の女・真珠(マシロ)にのめり込んでいく。誠一と真珠の間に芽生えてしまった恋心は留まることなく、遂に真珠のマンションまで来てしまう…

▶前回:「その発言、アウト!」高級レストランでの初デート。女が凍り付いた、男の“ありえない言動”


渇望


好きな女の手を握り、タクシーで家に向かう。それはさながらゴールまでのラストスパート。

—真珠が好きだ、真珠を手に入れたい

男の浪漫が破裂しそうなほど期待に満ちあふれ、体内で熱気が悶々と充満していることを悟られないように、涼しい顔で窓の外を眺める。

しかし、タクシーを降りて秋の夜風に触れながら彼女のマンションを見上げた時、火照っていたはずの身体が一瞬にして悪寒に包まれた。

「私こういう女なの。それでも好き?」

けやき坂にそびえ立つ六本木ヒルズレジデンスの前で、真珠は僕を試すように言い放った。

家賃は最低でも100万はするはずだ。

『どれくらい時間とお金を使ってくれたかで愛を測る』という彼女の言葉が、脳内で不気味にリフレインする。

妖艶なオーラ、一泊100万以上のプレジデンシャルスイート、ギラギラと輝く大粒のダイヤモンド…。

点と点が繋がり、僕は複雑な気分になった。

—でも…

燃え上がった恋心は、その程度のことでは鎮火しない。

「真珠…、僕はこんなことで君のことを嫌いになったりしない。僕の気持ちは変わらない。だから正直に言ってくれ、君はいわゆる“愛人”ってやつなの…?」

僕が意を決して真珠に問うと、僕を嘲笑うかのように、彼女は大笑いし始めた。

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